番外編生徒会長凛の夏休みの過ごし方

 拓哉と海に行った次の日。


 私は鏡の前に立ち、昨日の過ちを考えていた。


 いきなり、キスってやばいよね。頭の中で考える。


 どーしようこれから、話す時に拓哉に嫌な顔をされたら。


 もー何してるだよ。頭を横に振る、そんなことを忘れてお風呂に入ろう。

 そう思い、風呂場に向かう。


 髪と体をさっと洗う。シャワーを浴びながら考える。


 私は、拓哉のことが好きだということを。好きな理由はシンプル、あのカフェの時に私を守ってくれた拓哉に惚れしまった。


 そんだけのことで? って思うかもしれない、けどあの時の拓哉はイケメンだった。


 さっきまで熱かったシャワーは、いつの間にか冷たくなっていた。まるで、このずっと心の奥で燃えている気持ちを、少しでも冷やすように。


 風呂場を出て、自分の部屋に向かう。




 スマホを見つめること10分、なんて送ればいいんだ。

 拓哉に連絡がしたくて、何を送るかを考えている。

 好き?とか送れば良いかな、いやでも、うーん。


 好き、と入力するそして消す。また、好きと入力する。それを繰り返すこと15分。

 よし! 私は生徒会長だ、みんなの模範生でないといけない。


 好きと入力をして、送信ボタンを押しかける。


 待て、模範生だからこそ、これは送るべきではないんじゃないか。


 私は机に伏せ。人差し指で机をトントンと叩く。

 ちょっとだけ、寝よ。


 20分後、電話が鳴る。私は眠たい目を擦りながらスマホを取る。

 拓哉からの電話だった。


 何事だ?


 私は急いで電話に出る。


「凛先輩何かあったんですか?」


 優しい声で言われる。


「その、状況がわからないんだけど」


「えーと、その凛先輩から好きって連絡がきてて」


「ああ、そのことか、それはな」


 言い訳が見つからない、どうしよう。額に手を当てる。


「嬉しいだろ?毎日送ってやろう!」


 絶対に間違ってことを言う。


「まあ、嬉しいですけど」


 嬉しいのか、その言葉を聞いて耳が赤くなるのを感じる。


「毎日送ってやろう」


 照れてるのを隠しながら、言う。


「じゃ、俺も電話します」


 そうなことを言う拓哉の言葉を聞いて私は急いで電話を切った。

 バレたくなかったから、こんなに照れているのを。


 私はペンと紙を取り出す。


 そして、書き始める。


『残りの高校生活で絶対に拓哉と付き合うと』


 ペンのインクが溢れ出す。


 まるで、私の気持ちのように。

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