第17話 極秘会議
「多分、ヨウマも近いうちに会議に呼ばれるよ」
「え? なんで最低ランクの俺が?」
「だって、この事件に巻き込まれて生きてる人はヨウマだけだもん」
なるほど。必ずしも誰かが助けに来てくれるわけでもないからな。ここに、リリアが来たのは本当に偶然だったのか。
「というか、なんでこんなところにリリアがいるんだ?」
「ぐ、偶然よ。たまたま近くで、クエストを行ってたから。私だって、こんなところでヨウマに会うとは思わなかったわ」
「でも、リリアが俺を助けてくれたのは事実だし、今さら細かいことを聞くのは無粋だな。とりあえず礼を言っておくよ」
「礼なんて、別にいらないわよ」とリリアが笑顔で答える。
「それにしても、今後どうするつもりだ?」
「まずはこの事件の全貌を明らかにすることね。そして、犯人を捕まえるために協力してほしいの。ヨウマ、君の証言は非常に重要だから」
「もちろん協力するよ。でも、俺に何ができるかはわからないけどな」
実際俺は最低ランクで知名度ゼロ。一体俺に何ができるんだ...。
リリアは優しく微笑み、
「ヨウマも強いからそんなに心配しなくて大丈夫だよ」と励ました。
「ありがとうな」とヨウマが感謝の気持ちを伝えた。
その後、どうやらギルドは事件の手がかりを集めるために、現場を詳しく調査することにしたらしい。
そして、とうとう俺も会議に呼ばれてしまった。
会議室に入ると、すでに何人かのギルドメンバーが集まっていた。
「君がヨウマか、来てくれてありがとう」
中央に座るギルドマスターが、険しい顔で迎えてくれた。
「わかりました」と緊張しながら席に着く。
会議は慎重に進められ、ヨウマは自分が知っている限りの情報を提供した。リリアも一緒に参加しており、彼女の分析力と直感が会議を支えていた。
会議が終わると、リリアがヨウマに近寄り、「お疲れ様、ヨウマ。君の情報が役に立ったわ」と笑顔で言った。
「でも、これからどうなるんだろう?」とヨウマが不安そうに尋ねる。
「私たちはこれからも調査を続けるわ。君の協力が必要になることもあるかもしれないけど、その時はまた頼むわね」とリリアが答えた。
ヨウマは深く息をつき、「わかった。俺もできる限り協力するよ」と決意を新たにした。
翌朝、ヨウマはまだ薄暗い部屋の中で目を覚ました。前日の疲れが残る体を引きずりながら、ふとギルドの掲示板を見に行くことを思い立つ。ギルドのホールに足を運ぶと、早朝にもかかわらず数人のギルドメンバーがすでに活動を始めていた。
掲示板の前にはいつものように新しいクエストや報告が貼り出されている。ヨウマは自分の名前が記された掲示を見つけ、その内容を確かめた。そこには、自分のランクが上がったことを知らせる文面が書かれていた。
「ランクアップ...?なんで俺が?」
俺は目を疑ったが、すぐにランクアップクエストのことを思い出した。俺あのクエストを達成したことが、今回のランクアップに繋がったのだと理解した。
「そうか、あのクエストの報酬がランクアップだったんだな...」
そうか、あまりの事態にランクアップクエストのことを忘れていた。
クエストを確認すると受けることができるクエストが二倍近く増えていた。俺はそのクエストを受けることに決めた。
受付に向かおうとしたその時、隣で会話が聞こえてきた。
「お前はもう用済みだ。ここで捨てさせてもらう」と冷たい声が響いた。
何だ何だ?? 俺は驚いて振り向くと、一人の女性が仲間たちによって無理やり地面に押し倒されているのが見えた。その人物は苦しげな表情を浮かべ、声にならない声を上げていた。
「流石に見過ごせないよな...」
俺は近づいて、止めに入る。
「ちょっと待て、何をしているんだ!」
俺は咄嗟に駆け寄り、状況を確認しようとした。
「関係ない奴は黙ってろ」と一人の男が冷ややかに言い放つ。
なんて残酷な人なんだ。まあ、社畜時代だったらこんなのが当たり前だったけど...。
俺はそいつの言うことを無視して、倒れている女性に近づく
「大丈夫か?」
年齢は俺と同じくらいだろうか...。
「ありがとう...。大丈夫」
「オイ!! 何勝手に話しているんだ!!」
その迫力に一瞬たじろぎそうになるが、俺は意を決してその場を動かず、目の前の女性をかばうように立ちはだかった。
「関係ないと言ったが、見過ごす理由があるのか? ここはギルドだろ。仲間をそんな風に扱うのが規則か?」
俺の言葉に、その場にいた他のギルドメンバーたちがざわつき始める。状況に気づいていなかった数人が足を止め、何が起きているのかと視線を向けてきた。
「コイツはもう仲間じゃねぇよ!!」
「なら、お前にも仲間じゃない赤の他人に暴力を振る権利もないだろ」
「ッッ! もう勝手にしろ。俺はもう何も知らないからな」
そう言って男たちは立ち去っていった。
「怪我してないか? 何があったのか聞かせてもらえるか?」
話を聞いていく内にだんだんと、何が起こったのがわかっていく。どうやら、彼女、フィオナはあのパーティーについていくただの荷物持ちとして同行していたらしい。しかし、勝手にモンスターと戦ってしまい、怒られて捨てられたのだとか。
「しかし、どうするものか...」
緊急会議に、捨て子発見。今夜は眠れそうにないな......。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます