第37話梅の恋

「昌景達、何やってるの?」

「剣の稽古。夏希。」


「隙間あり!昌景!」

「おうっと。昌豊!」


「私も混ぜて。」

「昌景、相手してやりな。」

「いいけど、ずるすんなよな。」

「もうしないわよ。あの時は、勝負を賭けてたから。」

「はいはい。」


昌景と夏希が剣の稽古をしているなか、陰で信玄の娘、梅が見つめていた。


「梅殿!」


梅は顔を赤らめて、その場から去って行った。

 

「どうしたの?昌豊。」

「夏希殿、梅殿を見かけたから呼んだら、去って行ってしまった。」

夏希は、ピーンと来る。

「昌豊、梅殿に会いに行きなさい。」

「何で?」

「いいから!」


昌豊は、梅の屋敷に行く。


「梅殿。」

「まっ昌豊様!」

「何か用事でもあったの?」

「用事がなくちゃいけませんか?」

「えっ?」

わたくしじゃいけません?」

「は?」

「昌豊様のこと、お慕い申しております。」

「、、、。身分が違います。」

「そんなの関係ありません。昌豊様は、誰かお慕いしている方がいるんですね。」

「いないけど、、、。」

「じゃあ。」

「ごめん。」

昌豊は梅の屋敷を後にした。


「昌豊、どうしたの?」

「夏希殿、、、。」

「ふーん。梅殿のこと嫌い?」

「嫌いではない。ただお館様の姫君だ。」 

「昌豊らしくもない。」

昌豊は、その言葉をきっかけに動く。


「お館様。」

「なんじゃ。昌豊。」

「梅殿とお付き合いしたいと思います。」

「副将格の昌豊に異論はない。」

「では、、、。」

「良かろう。」

「ありがたき幸せに存じます。」


梅の屋敷。

「梅殿。」

「恥はこれ以上かきたくありません。」

「お館様に許しを請うた。」

「えっ?」

「必ずそなたを幸せにしよう。」

「嘘っ。嬉しい。」


昌景と夏希は、盗み聞きしていた。

「やるな。昌豊。」と昌景。

「やるー!昌豊!」と夏希。


「はっ恥ずかしい。」

「お前達、うるせーよ!」


梅は照れながらも、四人で盛り上がった。

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