コバルトブルーに抱かれたい。

藤 慶

表紙


黒歴史には、甘い記憶。


情けなかったり、気恥ずかしくて人には言えなかったり、色々あるのだが。





私には、5歳も年下の男になし崩しに抱かれた夜があった……。



当時私は大学生で。



その時、そいつは高校生だった。







街で一番のイケメンが三人従弟同士で、性格も見た目も、千差万別。



でも、どいつも、とびきりイケメンで、本当に一癖も二癖もあって。





それが、どうしたって?




私を抱いたのが、そのイケメンの一人だったって話。





冬野 総一郎とは、同級生の腐れ縁。



彼が、同級生やチンピラを半殺〇にするところを見た数は、片手で足りない。


カラダのフォルムはゴリラだけど、綺麗な顔してる。鋭い目で流し目されると女の子は赤面してた。



冬野 由貴という美少年は年に二度親の里帰りでやって来るよそ者のレアキャラ。


妖精の様に可愛く、大人になるに連れ、イケメンになって行く彼の成長が、盆正月の密かな楽しみだった。



椛島 一也は、細身で童顔、色白で、睫毛が長くて女の子だったら、美人なのに、と思うほど綺麗。でも、卑屈な表情や屈託のない笑顔には、オトコを感じさせる魅力があって、一番母性本能をくすぐってくる厄介な奴。




私が抱かれたのは、三人の中で、一番年下の一也。



中学・高校と英語の家庭教師をしていた時の教え子で。



大学4年生の時に、婚約者に振られた気の迷いで、一度だけなし崩しに彼にカラダを許してしまった。




そんな私は、順風満帆に大学を卒業し、弁護士資格を持って大手企業に数年勤めた後、退職し、親の経営する事務所で働いていた。


三年前に、6年振りに再会した、家庭教師をしていた頃の教え子だった一也は、いつの間にか、大学を現役合格し、彼もまた弁護士になっていた。


彼の両親も、私の両親も漏れなく、弁護士事務所の看板を背負った個人事業主だったからか。


いつの間にか、奴は私の同業者になっていた。




漏れなく、ある作品のスピンオフで短編書いてみました。


悪しからず。


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