【 朝焼けの街で 】

 一人夜遅くのバスに乗って

 まだ暗闇のままの朝一番に

 降り立ったバスターミナル


 始発列車を待つあいだ

   寒さをしのぐのに

 無言の人混みで

   見つけたベンチに

 身体預けて

   同じ曲ばかりを

     耳にしていた


 ふと見上げた横並びの窓の向こう

 昇りくる陽の光は赤く空を焦がし

 ビルの角張った黒い影たちが見え


 新しい朝が僕を包んで

 おはようといったんだ


 もうなくなってしまった

  バスターミナルだけれど

   あそこから始まったなら


 もうきかなくなってしまった

  ロックンロールだけれど

   そいつが始まりだったなら


 あの朝焼けの空が

   映していた景色を


 僕はまだ

   手放しちゃいけない


 この歌の

  終わりが来るまで

   手放しちゃいけない





 


 

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