【 悲シイナラ壊シテ進メ 】

僕は壊れそうになった


追いすがってくる悲しみから

逃れるようにして

僕はひたすらに駆けた


そこで行き詰まり

新しい扉を開けて先へ進もうとしたのだろう


それまでの自分なら

もっとも手にしなかったはずの書物や音楽をつかんでは

僕はその世界へ逃げ込んだ


結果僕はさらに壊れていった


それを時折繰り返したのが

今の僕だったりする


人は悲しみからしか学ばないという


生きる力に乏しかった僕は

なおさら

そうするしかなかったのかもしれない


ふと振り返れば

もはや誰も僕さえも

僕が誰だか気づかないくらい

遠くへ来てしまった


それはさらなる悲しみであった

が同じくらいの喜びでもあった



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