第16話 残り1ヶ月…
9月…
今月いっぱいで、この時代ともお別れだ…
私は、剣に近付けたのかな…
あと1か月、精一杯…頑張るしかないね…
剣はクラブを引退したから…
毎日、一緒に帰って、夕方まで楓の家で一緒に過ごした…
といっても…
他愛無い話をして…
たまに手を繋いで…テレビを一緒に見て…
その繰り返し…
休みの日に、一緒に出掛けたいけど…
毎週、誘ったら嫌がられるかなって思って我慢してた…
そしたら、剣から…
「こんどの日曜日、一緒に何処かに行こう」
って、言ってくれた。
「何処に行こうか?」
「お金がかかる所は行けないよな…」
「また、海に行こうよ」
「そうしよう」
二人は、前に一緒に行った海に行った。
まるで、青春ドラマのように…
砂浜で走って…水をかけ合って…
すごく楽しかった。
それから…
剣は、毎週のように何処かに行こうって言ってくれた。
だから、二人で…
用もないのに、街へウインドショッピングに行ったり…
あてもなくウロウロしたり…
一緒にいられるだけで…楓は幸せだった。
でも、時は待ってはくれない…
楽しい日々は、どんどん過ぎていく…
悲しいけれど…これか現実だ…
本当に、1年なんてあっという間だったな…
そして…
楓が、この時代にいられる最後の日がやって来た。
9月30日水曜日…
二人は、いつものように学校から一緒に帰って、楓の家で過ごした。
楓は、今日が最後だと分かっていたから…
「剣、お願いがある。もう一度、夜に会ってくれないかな?」
「うん。いいけど…どうしたの?」
「なんでもない…ただ、夜に2人になりたいって思って…」
「そうか…いいよ。いつもの公園で会おう」
「ありがとう」
剣と楓は、公園で会って…
「たまには、歩こうか…」
そう言って色々な話をした。
「私ね。きっと剣より先に剣のこと好きになってたと思う…ずっと好きだった…それとこんな私を好きになってくれて、ありがとう」
「いや…俺の方が楓のこと先に好きになったと思うよ。俺こそ、こんな俺を好きになってくれてありがとう」
「剣、これからもよろしくね。私達、まだ子どもだし、これからも色々あると思うけど…ずっと一緒にいたい」
「俺も、そう思ってる…」
「剣、大好きだよ」
楓は、そう言って…初めて剣に抱きついた…
剣は、驚いてたけど…
剣も、抱きしめてくれた…
二人は、初めてキスをした。
楓は、嬉しくて涙が出そうになったけど…我慢した。
「剣、また明日ね…」
「うん、また明日…」
そう言って二人は帰った…
帰り道、楓は泣きながら…ずっと剣の後ろ姿を見ていた…
剣が振り返って手を振ってくれた。
楓も、大きく手を振った…
明日は、来ないことは分かっている…
悲しかったけど…
諦めたくない…
楓は、ある決意をした…
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