第7話

「望っっ!!」



「オイッ!!大丈夫かっ!?」




……ゆっくりと目を開けると、泣きそうな友達の顔と



……誰?



全く知らない男の人が、食い入るようにあたしを見つめていた。



深い夜の色をした瞳と目があう。



その瞬間。



フッと浮かび上がってくる名前があった。



……そっか、これが"アナタ"の名前なんだね。



きっとまた逢える。



そう確信する。




ね、



" ーー "。




しかし……。


本当に誰だ?


この人……。



その綺麗な瞳に触れたくて、手を伸ばす……も




「いだだだだだだだだだだだだだだっ!?」





え!?


何コレ!?


全身が痛いのですがーっ!?



あれかっ。


三途の川へ行ったからかっ。



言うことを聞かなかったから、鬼さんの報復かぁー!?




「動くなっ。アンタ頭打って、5分間意識がなかったんだぞ!?」




5分間!?


三途の川へ行っていたのが5分間だけだったなんてっ。



もっと長い間居た気がするけど……。



そしてあたしは友達と謎の人から聞かされる。



車に轢かれる瞬間、この人が助けてくれたこと。


しかしあたしは頭をアスファルトで強打したこと。



今の今まで意識がなく、もうすぐで救急車が来るということを。




「あのっ」



「ん?」



「ありがとうございます。アナタのお陰で約束が守れそうです」



「約束ー?」





こうして、あたしは未来の娘と三途の川で会うなんて不思議で、でもとても暖かな5分間を過ごしたのだった。





「もうひとつ良いですか?」



「ん?」



「お名前はー?」

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