第10話:ピンと張る指のピストル雲の峰

ピンと張る指のピストル雲の峰

ぴんとはるゆびのぴすとるくものみね



 まだ自由に動かない身体。それでも、前より身体には力が漲っている。

 培養され、実験体のアンドロイドじゃない。ただ温室育ちとはかけ離れた、野生にも近い猛々しいとしかいえない感覚。


 まだ誰も知らない、球根じゃく種から育った花には、誰も知らない色や形になる可能性がある。


 ピストルの形を指でつくる。腕も指も思い通りに動くし、力も入る。


 見上げるは、窓から見える入道雲。そっと、狙いを付け、「バンッ」と呟く。

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