第8話:朝にはライトアップに花は散り

あしたにはライトアップに花は散り

あさにはらいとあっぷにははなはちり



 植物でも記憶があるらしい。桜は気温の変化を覚え、自ら咲く時期を知る。温度管理された病室の中のままならば、私は花を咲かすことはない。


 窓から見えるのはライトアップされた桜。


 温度変化を記憶するのならば、ライトアップされた環境は桜の体内時計を狂わせ、散る時期を早めてしまうかもしれない。


 朝には、花は散ってしまう。ライトアップの終わった暗闇の中でも、桜の体内時計は進んでしまった。


 暗闇の中に、桜の花はそっと散る。

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