夏目漱石の呪い?

さが あさひ

第1話

新紙幣に、まだ慣れない私…。

諭吉さんは、栄一さんになり、樋口さんは、津田さんさんになり、野口さんは、北里さんになった。

新しい顔ぶれに全然馴染めずいるわけだけど、こちらの気持ちは置いてきぼりで、新紙幣がお釣りに交じることが多くなり、ついにはATMからも出てくるようになった。

お財布の中は、新旧入り乱れての、大騒ぎ。

お金出す時に戸惑ってしまう。

そもそも、私はお金に縁が無い。

ずっと貧乏な気がする。

何故なんだ!?

とまぁ、そんなことを思うとき頭を過るある思い出がある。

昔、子供の頃、家はまだいわゆるボットン便所と呼ばれるタイプのおトイレだった。

数年後、下水道工事が行われて、水洗トイレへと変わるのだが…

お正月を迎えたある日、母に買い物を頼まれて、どうせ外に出るなら、私もついでに何か買って来ようと、お年玉から千円札を出し、母から預かった千円札と合計で2千円を重ねて四つ折りにして、手袋をした手のひら側に入れたのだ。

落とさないかな?

心配しながらも、なぜかそんな所へ入れた私。

そのまま外出していれば良かった。いや、ポケットに入れておけば良かったのでは?


数分して出掛ける段になり、トイレに行きたくなった私は、トイレに入り、手袋を外した。

昔のトイレは、当然和式だった為、跨いでしゃがんでするタイプ。

お金を入れていた事をスルッと忘れて、

2千円は、畳んだ状態でおトイレの暗い穴の中へと落ちて行った…。

あっ、と思った時にはもう遅かった。

ボットンタイプは、汲み取り式…つまり中には排泄物があるわけです。

そして子供の私にはとてもじゃないけど、取れる距離では無かった。


私は、親にも言い出せず、お年玉から、預かったお金分を出し、買い物してお釣りを母に返しました。


きっとあの時の、夏目漱石の呪いのせいで、私はいつまでたっても、貧乏なんだと思っている次第です。

ただ単に、使い方が下手なだけなんだろうな…。

皆様お金は、大事にしましょうね!

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