第14話
あの吹きガラス体験の日から、私達はたまに遊びに行く仲になった。
裁判傍聴に行ってみたい、と言う私にうたくんが付き合ってくれたり、美術館に行きたい、と言ううたくんに私が付き合ったりしてだんだん会う回数が増えていった。
ちなみに昨日はドーナツ工場に行った。
楽しかったなあ、なんて思いながら上機嫌で大学に行ったのに、なぜか今私は女の子に文句を言われている。
「ちょっと!聞いてんの?!」
「あー聞いてます聞いてます」
正直めちゃくちゃ面倒くさい。この子の話によると、私はこの子の友達の彼氏を取った、ということになっているらしい。
らしい、というのは私は取ってないからだ。
詳しく聞いていると、なにやらその子の隣にいる大人しめの女の子の彼氏が好きな人が出来た、と彼女を振ったらしい。
そしてその好きな人というのが私らしいのだ。
そういえば最近告白されたな、と思いながら
「あの、私その人のこと振りましたけど」
と言えば
「はあ?!そういうことじゃなくてね!」
どうやら火に油を注いだみたい。
ていうか振られた子が文句を言ってくるならまだ分かるけどなんでその友達が言ってくるの。意味が分からない。自分で言ってくればいいのに。
それに文句を言う声が大きく、周囲にだんだん注目され始めた。
しばらく文句を聞いたしそろそろいいか、と思った私はごめんなさい、とだけ言って退散した。
後ろでまだ何か言っているのが聞こえるがまあいいだろう。だって私悪くないし。それに今からバイトなんだよね、これのせいで遅れるとか絶対いや。
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