第25話 脳筋父娘
「お主がベアナックルか。一手御教授願えないかね?」
フェルンの町の冒険者ギルドでクエスト依頼書を適当に物色してると、なんか渋いオッサンに話しかけられた。
俺はウィンディの住んでる村とフェルンの町を行ったり来たりしていた。
ウィンディは俺が買い取った。と言っても人身売買じゃないけどね。
村長さんにはお金をゴッソリ渡して、ウィンディの家族にもゴッソリお金を渡した。自分を助けるどころかニッコニコしながらどうぞどうぞと俺に差し出して来る家族や隣人を見て絶望するウィンディは可愛かったなー。
たくさん可愛がってやったら泣いて悦んでたよ。
なので俺の今の寝床はウィンディだ。
「Bランク冒険者のジャトゥハンと申す。ソロで活動している」
このフェルンの町はバリュー市からは山を五つ六つばかり離れた場所にあったよね。ギリギリロイヤル王国内だったわ。
フェルンを初めて犯した泉の森のある山を越えれば隣国だ。なんて名前だっけか?
「嫌だよ。面倒臭い」
オッサンに話しかけられてても全然嬉しくないなぁ。なんなんだよ?
「金は興味無いか?」
オッサン…ジャトゥハンは武道家なのか動き易そうな胴着を着ている。鎧も武器も見当たらない。余程自信があるのだろうか。
「うん」
金ならモンスター殺せば手に入る。野盗とか見つけて殺しても手に入る。別にイラネ。
「女は」
「ある」
即答した。この町にも娼館はあったが、アスパーシャ程の良い女は居ない。町娘もエマやフリーシアンみたいな上玉は見かけない。
冒険者もヴェーツェみたいな美少女とか居ないんだよねー。
ウィンディの村にもろくな女が居なかった。金を見せたのは失敗だったな。純朴そうな村娘を犯すのは楽しいが、もう皆金に目が眩んじゃって下心満載で擦り寄って来るのが気持ち悪い。それを差し引いてもウィンディは良い女だったな。孕ませるまで犯そ。
そう考えるとバリュー市は女のレベルが高かったんだなぁ。
「ふむ。アーニス」
ジャトゥハンが周りに居る冒険者達に向かって呼びかける。
「何?」
その中の一人が返事をする。うん?結構な美少女だった。ただ残念なのは肉体が凄い事だな。美しいとは思う。肉体美ってやつだな。露出度の高いビキニアーマーを着ている。
だがエロスよりも芸術的な刺激を感じる肢体だ。要するに、腕も脚も太いし腹筋も割れている。タッパも俺よりある。俺の知る女の肉体じゃねぇぞコレ。
「ソロじゃないの?」
仲間居るじゃねーかよ。
「娘だ」
娘かい。似てるかな?
「ジャトゥハンの娘アーニスだ。ソロで冒険者をしている。Bランクだ」
父娘なのにパーティー組んでないの?変な親子だな。
ただソロでBになったって事はAランクパーティー相当の実力者って事だ。そしてAランクって事は変人て事だ。変人なら仕方無いね。パッと見の実力差的に、ジャトゥハンはBランクの上級、アーニスはBランクの低級ってとこかね?
「私に勝ったなら娘をやる。好きにしていい」
「ふーん」
うわ、このオッサンマジか?自分の娘を賭けの対象にしやがった。
勝てる自信があるのか?
てゆーかこっちのアーニスっつー女も全く動じてないぞ?なんなんだこの父娘?
「あ、そう。あんま好みじゃないけど、貰えるもんなら貰っとくよ。ほなやろっか」
ウィンディ以外も抱いとかないとね。趣味が合わない女でも偶にはいいか。つまみ食いも悪かぁない。
それに良く見なくとも美少女だ。筋肉に目が行きがちだが、スタイルは抜群で胸部装甲も分厚い。俺より身長もガタイもデカイけど、デカ女を屈服させんのもオツかもな。
「はぁあああっ!?」
突然ギャラリーの女冒険者が声を上げている。
「アンタらっ!女をなんだと思ってるのっ!?黙って聞いてたけどアンタらおかしいよっ!?」
外野が煩いな。ちょっとオッサンと遊んであげるだけで可愛い女の子抱けるんだ。黙ってろブス。
「承知した。父に勝てたならこの体、好きにするといい」
俺が外野を黙らせる前にアーニスが言い切った。
娘も覚悟決まってるな。
「ちょっ!?アーニスっ!?いいのっ!アンタ商品とか景品みたいにクソオヤジに売られちゃうよっ!?ジャトゥハンもそんなに娘の貞操を軽く扱うなっ!」
顔見知りなのだろう。女冒険者が必死に父娘を説得している。
「裏の訓練場を借りるぞ」
ジャトゥハンは聞いてない。ギルドの受付嬢に場所代として金を渡してる。
「?何か問題が?」
アーニスもキョトンとしている。
「アンタガード硬くて有名だろっ!?なんでそんな平然と―――」
女冒険者も戸惑っている。
「私もそろそろ子供が欲しかった。父より強い男なら是非も無い。私より強い男ならたくさん居るが、父より強い男はまだ出会っていない」
「そうけ」
なんか調子狂うなぁ。
「…アンタが偶に言う、父親より強い男しか興味無いって本気だったの?」
女冒険者が呆れている。
「?。私はいつも本気だ」
凛々しい顔付きをしてるが、この女、天然だな?
「では行こうか。ベアナックル」
てな訳で、冒険者ギルドの裏の訓練場にて模擬戦をする事になった。
☆☆☆☆☆
「なんかギャラリーが多いなぁ」
暇人が多いよね。
冒険者ギルドの受付ロビー兼酒場に居た連中がぞろぞろとついて来ていた。
「ベアナックル。お主、師は居らぬのか?流派は?」
一定距離を取ったジャトゥハンが話しかけてくる。俺が素手でモンスターを殴り殺してるのは知れ渡ってる様だな。普通は武術かなんかやってると思うよね?違うんだなー。
「そんなもん居ねーよ。我流だ我流」
さて、殺さない様に手加減しないとな。流石に命の遣り取りは不味いだろう。
「双方、用意は良いか?」
審判役を買って出て来たのはなんとアーニスだ。変な父娘だなホント。
「では、はじめっ!」
アーニスの掛け声でジャトゥハンが走り込んで来る。おお、速い。いや速くはないが、動きに無駄が無い。
歩法か?独特な歩法が距離感を狂わせる。ぬるりとした動きでいきなり間合いを詰め、越えて来る。これは単純な速い遅いとかではないな。
「よっ」
俺は無造作にカウンターを放つ。
「ふむ」
スルリと俺の腕を絡め取るジャトゥハン。
「おお?」
膝裏に足を引っ掛けられ体勢が崩れる。このまま倒されれば腕の関節を極められるかも。
「ぬっ!?」
俺は体に力を入れて強引にその流れを阻止する。俺の腕に飛びついていたジャトゥハンが驚愕している。
俺が片足を上げた姿勢でピタリと動きを止めたからだろう。
バッと飛び離れたジャトゥハンは何の躊躇も無く俺の金的に蹴りを入れてくる。
ゴキッ!
「ぐおっ!?」
ジャトゥハンは足を庇う様に飛び退る。
「速いなぁ。対応出来ないやぁ」
俺は手を広げてジャトゥハンに近付いていく。便宜上速いと言ってしまったが…なんか違うな。掴めると思ったのに逃がした。不思議な感覚だ。
(呼吸…呼吸かな?俺の動作の呼吸を読んでる?)
技術面では間違い無く俺よりも優れている。
惜しむらくは、火力不足。
「ぜああああああああああああああああああっ!!!!!」
ジャトゥハンが裂帛の気合いと共に打ち込んで来る。俺はそれを全て受け入れてみる。ラーニング出来るかも知れないしね。
「しぃっ!」
ジャトゥハンの拳が鳩尾に突き刺さる。
「ぬんっ!」
ジャトゥハンの貫手が眼球に突き刺さる。
「ほあたぁっ!」
ジャトゥハンの鋭い蹴りが延髄に突き刺さる。
「はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁ!」
ジャトゥハンの攻撃は全てインパクトの瞬間にだけ強化されていた。アイアンゴーレムでもフルボッコに出来ただろう。
並の人間なら原型を留めないくらいにぐちゃぐちゃにされていたろう。だが結果は逆だ。
ジャトゥハンの拳も指も足も、俺に攻撃するたびにダメージを受けている。カウンターを狙わずに受けに徹してみたが、特に問題は無かった。ただ別段ラーニングするものも無い。鋭く洗練された技ではあったが、所詮ただの打撃に過ぎない。
(これが地力の差か)
ジャトゥハンの攻撃は俺にダメージを与えられない。
(そういや最後にダメージを受けたのはいつだっけな?)
覚えてねー。
俺の強さの秘密が解るかと思ったけどちょっと良く解らない。
(身体強化魔法はほぼ無意識に行ってる。だがなんか薄い膜の様な物を感じるな?)
結界?結界魔法…か?
違和感は眼球かな?眼球への攻撃すら通じなかったのは身体強化魔法だとしても無理がある気がする。
(俺の肉体を薄い膜の様な結界が常に覆っている。女犯す時とかはオンオフに出来る?)
膜を纏ったままなら肉体の接触の快感も得られないし、そもそも生身の人間を抱き締めたらぐっちゃぐちゃにしてしまう。肉体を覆う薄い結界。これが俺の力の正体か。
「ああ、勝負だったなコレ」
俺がふと思い出して拳を握り込む。ジャトゥハンの動きは独特で捉え難いが、まぁ当たるだろ。
だが、俺が攻勢に転じる前にジャトゥハンが両手を上げてきた。
「私の負けだ。アーニスは好きにしていい」
勝負がついてしまった。いいのコレで?
「お主が手加減して攻撃をしようとする気配が解った。実力差が解らぬ程未熟ではないつもりだ。技では私のが上だが…圧倒的な力の前にはそんなものは無意味だな」
負けたというのにジャトゥハンの顔は妙にスッキリしている。なんなんだろうか?多分彼なりに壁にぶち当たっていたのかも知れない。答えを得たならええんやけど。
俺を置いてけぼりにしないで欲しい。
(ただまぁ得る物はあったな)
モンスターは一方的に殺すだけで終わるので、ジャトゥハンとの模擬戦は実験的で良かった。
(俺の能力が身体強化でなく結界魔法由来なら、対結界の手段が通じるかも知れないよね)
身体強化による身体能力の向上も実感としてある。だがそれ以上に、身体を覆う膜が効果をエグい程に発揮している。
(返り血を浴びるって事は常に展開してる訳じゃない?まだ検証は必要かな)
そこまで強さの追求とか興味無いんだけど。一応進めておこう。俺が使えるなら何処かの誰かも使えるんだ。熟練者に襲われたら何も解らずに殺されるかも知れない。それは嫌だなぁ。
「アーニス」
「何?」
父親が負けた事に特に何も感じてないっぽい娘。
「強い子を産め」
ああ、そういやそんな話だったっけ?
「解った」
特に何の感慨も無く頷いているアーニス。やっぱ変な父娘だなぁ。
「これでも自慢の娘だ。是非孕ませてやってくれ。私も強い孫が産まれたら嬉しい。お主より強く鍛えてやり、いつかお主を超えてみせよう」
「うーん。コメントに困る」
頭戦闘民族だな。なんかちょっと苦手だわ。
空気が合わねぇ。
☆☆☆☆☆
「一から修行し直して来る」
ジャトゥハンがよろよろと歩き去って行く。あ、やっぱ金的蹴りの時に足首もやってたっぽいね。
「エスペル。私とも闘ってくれ」
アーニスが俺の前で構えを取る。
「ん?やっぱ犯されんの嫌か?」
アーニスには何の落ち度も無いもんな。抵抗された方が燃えるから有り難いけどよ。
「いや、そうではない。父が敵わない以上私でも無理だ。だが、挑戦してみたくなった。私を孕ませる男の力を直に味わってみたい」
アーニスがそう言って剣を構える。腰にはナイフも数本差してある。
「お前は剣を使うのか?」
父親みたいに武道家かと思った。
「お貴族様みたいな上品なものではないぞ?殴るし蹴る。場合によれば石を拾って投げるし、相手の得物も奪う」
なんでもありか。実戦的だね。
「おお、速い」
戦闘開始の合図も何も無い。不意打ちからのスタートだ。
俺は折角なので遊んでやる事にする。
アーニスの振るう剣を紙一重で躱す。受けても良いが剣が折れちゃうからね。ジャトゥハン相手には受けに徹してたけど、今回は全部避けてみよう。
アーニスは大股開きのハイキックを放ったかと思えば、上段から袈裟懸けに斬り下ろしてくる。
「成る程。露出度マックスの変態ビキニアーマーはそのためか」
「ああ、下手な鎧はかえって邪魔だ」
女性特有の関節の柔らかさを十全に活かすには鎧は邪魔なのだろう。下着並の面積しか隠していない肢体を惜しげも無く披露し、関節の限界まで可動させて多種多様な攻めを魅せてくるアーニス。
ギャラリーからも感嘆の溜め息が漏れている。皆それなりに冒険者なのだろう。性的な目でアーニスを見ていない。露出度の高い身体はまさに筋肉美を体現している。美しい。俺ですら見惚れる程だ。
「はははっ!当たらないなっ!凄いなお前っ!」
自分の攻撃が俺に掠りもしないのにアーニスは楽しそうだな。根っからの戦闘狂らしい。
「さらに身体強化特化とはね。ビキニアーマーの有用性がこんなところにあるとはなー」
俺も感心する。
アーニスもジャトゥハン同様に魔力を
アーニスは剣とビキニアーマーにも強化魔法をかけている。己の身体の一部としているのだろう。
フルアーマーの鎧を装備したらこんな変幻自在な攻め方は出来なくなる。ビキニアーマー故の動きだ。
成る程。父親とはまた違ったタイプだね。ジャトゥハンは攻撃がヒットする瞬間に強化をするタイプだった。アーニスのが魔力量が高いのかな?
アーニスは近接戦闘の技術なら俺が出会った女の中では一番だろう。
だが…
「やはり火力不足だな」
俺は拳をアーニスの腹に当てる。膜は纏わぬ様にした。アレだと多分腹を突き破り内臓を潰して背中から拳が飛び出すぞ。
俺の拳がアーニスの硬くも柔らかい腹筋の感触を捉える。よし、手加減成功。
「ぐぬっ」
呻き声一つ上げて、アーニスがガックリと項垂れ気を失う。
「確かに、お前に子供産ませたら強そうだな」
今はジャトゥハンのが強いが、潜在能力はアーニスのが上だ。
(………ジャトゥハンの狙いがなんか見えてきたな?まぁこんな良い女抱けるから安いもんか)
武骨に見えてとんだ狸親父だな。きっと親子共に強さの壁にぶち当たってたんだろう。そして娘にさらに強さを与える事は自分には出来ないと判断し、強者を探してたんだろうな。
総合力ではジャトゥハンよりも、それこそ俺よりも強い奴は居るだろう。しかし方向性の問題だ。
魔法や武具、さらに固有スキル等で強い者に教えを乞うてもアーニスの肌には合わなかっただろう。
(出会って俺の強さの性質を見抜いたのは長年の経験か)
建前は娘を売り渡す形であったが、これは俺への弟子入りだ。
(俺自身も俺の強さは良く解ってないんだけど…まぁ鍛えるだけ鍛えてみるか)
汗で髪を頬に張り付かせたアーニスの顔は存外色っぽい。
筋肉のインパクトが強かったが、胸や尻もそれなりに柔らかく、やはり女体なのだと思う。
これはこれで犯し甲斐があるな。ぐったりしたアーニスをお姫様抱っこにしてやる。
気を失い弛緩したアーニスの顔は、凛々しさの中にか弱さが見える。うん。今なら楽しんで犯せそう。本人も父親も望んでるし、じゃんじゃん中に出して飲ましてやろうか。
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