第39話 突然の裏切り
*物語は、教豊が意志を固め、冥界からこの世に戻ってきた後の展開に移る。彼は、猿ヶ辻に立つ猿の像が動いているのを目撃する。想像を超えた不思議な光景が、教豊の目の前で展開されるのだ。*
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**猿ヶ辻での驚き**
*猿ヶ辻に立ち、新たな使命を抱いた教豊は、周囲に漂う静けさにふと感じ入り、かつての戦場を思い起こす。その時、背後から不気味な物音が聞こえ、振り返ると、猿の像が少しずつ動き始めていた。*
**教豊:**(驚きながら)「どういうことだ…?この猿の像が動くなんて!」
*猿の像は、まるで生きているかのように耳をピクピクさせ、まばたきを始める。教豊はその光景に目を奪われ、恐る恐る一歩近づく。*
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**猿の声**
*猿の像は、教豊の目の前でその口を開く。*
**猿の像:**(意外なほど人間のような声で)「教豊よ。お前がここに戻ってきたことを、長い間待ち望んでいた。」
**教豊:**(困惑しながら)「お前は…何者なのか?なぜ動けるのだ?」
*猿の像は、優雅に手を動かしながら教豊に語りかける。*
**猿の像:**「私は猿ヶ辻を守る者。人々の願いを受け止め、導く役割を持っている。お前の力が必要になったのだ。」
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**導きの言葉**
*猿の像は、教豊が再びこの世に戻った理由を掘り下げる。*
**猿の像:**「お前の名は、戦士としての誇りを持って語り継がれる。けれども、今の時代には新たな試練が待ち受けている。お前がその試練を乗り越えなければ、山名家は存続の危機に瀕するだろう。」
**教豊:**(決意を固めながら)「試練を乗り越えるためには、どうすればよいのか教えてくれ!」
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**猿の助言**
*猿の像は教豊の心に響くような静かな声で、先に進むための助言をする。*
**猿の像:**「まず、己の心の中に迷いをなくすこと。次に、勇気を持って道を切り開く者たちと共に歩むことだ。そして、過去の教訓を忘れずに、未来への道を模索するのだ。」
*教豊は猿の言葉を胸に刻み、彼が求める絆と勇気の意味を深く理解していく。*
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**新たな旅の始まり**
*教豊は、猿の像の教えを受けてそのまま山名家の未来を守るための旅に出ることを決心する。彼の目には新たな希望が宿り、再び戦いの場へと向かう。*
**教豊:**(意気込んで)「私の心は揺らがない。猿ヶ辻の守りのもと、全ての試練を乗り越え、家族と仲間の未来を守り抜く!」
*猿の像は、教豊の決意を見届けると、再び静かに像の姿に戻る。教豊はそのまま猿ヶ辻を後にし、自身の運命に挑むために歩き出す。*
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*物語は、教豊の新たな旅立ちと、猿の像が彼を見守り続ける姿で締めくくられる。教豊の心には、未来への希望と、山名家を守る使命が深く刻まれている。*
文明3年(1471年)5月21日、斯波義廉(前管領)の宿老で西軍の主力であった朝倉孝景が、義政による越前国守護職補任を受けて東軍側に寝返った。本来越前守護職は斯波氏のものであったが、これが臣下のはずの朝倉氏に与えられ越前一国の支配権を公認された形となった、まさに下剋上である。西軍の主力の移籍により、東軍は決定的に有利となり、東軍幕府には古河公方足利成氏の追討を再開する余裕すらも生まれた。一方で西軍は8月、擁立を躊躇していた後南朝勢力の小倉宮皇子と称する人物を擁立して「新主」とした(西陣南帝)。同年に関東の幕府軍が単独で成氏を破り、成氏の本拠地古河城を陥落させたことも西軍不利に繋がり、関東政策で地位保全を図った義廉の立場は危うくなった。
文明3年の5月21日、朝倉孝景(脇知弘)の寝返りは西軍にとって衝撃的な出来事であった。長年にわたり西軍の主力として戦ってきた彼が、斯波義廉の元を離れ、義政(堺雅人)が与えた越前国守護職を受け入れたことで、政権の力関係は一変した。彼の決断は、まさに下剋上の象徴であり、武士の忠誠心が揺らぐ状況を示していた。
朝倉の離反により、東軍は士気を大いに高め、この機会を逃すまいと次なる策を練り始めた。義政は「この大胆な行動は西軍の動揺を引き起こす」と考え、全軍を指揮して新たな攻勢に出ることを決定した。朝倉を加えた東軍は、関東の古河公方、足利成氏(草刈正雄)の追討に向けて動き始めた。
その頃、義廉はこの状況に懸念を抱き始めていた。朝倉の寝返りにより西軍の主力が失われたことは、彼自身の権威を揺るがすものであり、「このままでは西軍は崩壊する」と不安を感じていた。
その一方、西軍では間もなく後南朝勢力の小倉宮皇子と称する人物が擁立された。彼は西軍の士たちに新たな希望をもたらす象徴となり得る存在であったが、実体は不明瞭であった。擁立された時、義廉は「この皇子を支持することで我が軍の士気を維持できるかもしれない」と考え、黙認することにした。士たちは新しい主を仰ぎ、再び団結すると信じていた。
8月、東軍の攻勢が続き、ついに古河城が陥落する。これは関東幕府にとって快挙であり、成氏は大きな打撃を受けた。この成功は、朝倉の寝返りによってもたらされたものだと、義政は自らを誇示し、ますます自信を深める。
「これこそ我が義政の正義だ。越前の地は我がもの、今や全国に我が名を轟かせる時だ」と彼は口にし、自らの力を誇示した。
しかし、西軍内部の状況は悪化の一途を辿っていた。義廉は次第に孤立し、武士たちの間に不満が広がっていく。「私たちの忠誠はどこにあるのか」と問いかける者も現れ、忠義心が揺らいでいく。しかし、義廉は自らの権力維持のため、何とか士たちを説得しようと苦慮していた。
「我が命に従え。新たな皇子の存在が我らを救う」と言い続けるが、心の中は不安に満ちていた。
そんな中、義政は関東での勝利を受けて東軍を再編成し、戦力を整え直す。そして、西軍の弱体化に乗じて決戦を挑むことが決定された。「新たなる皇子を名乗る者が真の力を持つかどうか、この戦で証明しよう」と義政は戦の前夜、壮大な決意を込めて述べた。
「今、すべての者が我が名の元に集い、戦うべし」と高らかに叫ぶと、周囲の士たちもその言葉に感銘を受け、士気が高まった。
戦の前の夜、義廉は彼の周囲に残る数少ない忠誠心を持つ武士たちと最後の話し合いを行った。「このままでは分裂し、我が軍は滅びる。新たな主を信じることはできないのか」と訴える彼に対し、武士たちの顔は厳しい表情を浮かべた。
「西軍は聖なる一族の名の下に戦っている。この戦を越えれば、我らも生き延びる道がある」という義廉の言葉に、武士たちは一瞬の沈黙をもって答えた。
いざ決戦の日を迎えると、双方の軍は勢力を結集し、戦場へ向かう。義政の東軍は結束して前進し、義廉の西軍は新たな主を仰ぎ、戦の場へと臨んだ。歴史の一幕が今、源とする戦場で繰り広げられようとしていた。
この戦がどのような結末を迎えるのか、運命の扉はすでに開かれつつあった。希望と不安が交錯するこの瞬間、戦士たちの心に何が宿るのか、誰にもわからない。
戦が始まる直前、東軍の一角で細川勝元が身を整えていた。彼は忠臣として知られ、義政の信任を厚く受けていたが、心の奥にはトラウマがあった。以前の戦で彼が目撃した仲間たちの無惨な姿が焼き付いており、その影響で彼は戦場に出ることに強い抵抗感を抱いていた。
「またあの悪夢が蘇るのか」と細川は自問自答する。彼の内面では、マムシのように人を仕留めることに対する恐れが渦巻いていた。戦においては冷静さが求められるが、彼の心は戦うことに恐怖を抱いていた。
戦の直前、義政は細川に言った。「勝元、あなたの剣はこの戦局を一変させるものだ。勝率を上げるために、あなたが必要なのだ」と。勝元はその言葉を受け止めつつも、自身の心の葛藤と向き合わなければならなかった。彼は義政を裏切ることなく、戦のために立ち上がることを決意するが、その挑戦は彼にとって容易ではなかった。
「私はただの刀の使い手ではない。この戦を勝利に導くためには、己の恐れを克服しなければ」と自身に言い聞かせた。
戦の中、敵軍との激しい接触が始まり、勝元は思わぬ形で辻斬りのような状況に陥ることがあった。近くの戦場で、彼の横をすり抜けていく敵の兵士に対し、勝元は思わず動きを止めてしまった。
直感的に動けず、「私がこの者を斬らなければ、仲間が危険にさらされる」と心の中で叫び、ようやく剣を振るった。幸運にも敵の兵士を討つことができたが、その瞬間、またもや悪夢がフラッシュバックした。
「誰かが私の愛する者のように倒れてしまったらどうしよう」と思った瞬間、戦は勝元の心をさらに蝕んだ。
一方、西軍の義廉は軍の再編成を試みるが、士気の低下や離脱者が目立つ様子を目の当たりにし、リストラを余儀なくされた。「私たちの戦力をどうにかしなければ、勝てるわけがない」と思いつつも、義廉はその決断に心を痛めていた。
士を切り捨てることは彼にとって一大事であり、そのために新たな武士を迎え入れる方策を考えていた。「この戦に耐えられる者が求められる。信念を持っている者を見つけ出さなければ」と彼は決意する。
細川勝元が戦の合間に心を乱しながら見るものの中に、蘭の花があった。戦場の近くには草花が点在しており、その美しさは彼の心を一瞬和ませた。彼は思わずその花に手を伸ばし、苦しむ心を一時的に忘れた。
「蘭のような美しさを守るために、私は戦わなければならない」と己を奮い立たせ、その感情に勇気づけられて戦場に戻っていった。彼は仲間たちを守るため、心の中の恐れを乗り越えようとした。
戦が佳境に差し掛かり、勝元は仲間と共に最後の攻撃を開始する。義政の指揮の下、厳しい戦闘が繰り広げられ、戦士たちの悲鳴と戦の響きが交錯する中、勝元は成長していく。彼の過去のトラウマも少しずつ癒されていくのを感じながら、戦う仲間たちへの思いが力となって彼を奮い立たせた。
この戦いがどのような結末を迎えようとも、彼は美しい蘭の花のために、何とかして戦い抜く決意を固めていた。運命の行方は、この瞬間にかかっていた。
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