シンデレラと恋の病【完】
咲坂ゆあ
1話・ガラスの靴では脆すぎて
第1話
*
今思うと、私は一番好きなもの、をなかなか決めきれない性格だ。だって、好きなものをひとつに絞ったらもったいない気がするの。
真夜中のコンビニ、こたつで食べるアイスクリーム、平日朝八時の二度寝、しっぽまであんこぎっしりのたいやき、課題のない金曜の夜、焼きそばと一緒に食べるご飯、アツアツのチーズ、花瓶に活けたばかりのブーケ。
お気づきかと思うけれど、食べることが何より大好きな私の今日は稀に見る、ラッキーが重なった日でもあった。
土日の課題は授業中に提出してハッピーな金曜の午後。ちなみに金曜は大学の日替わり定食が大好きな包み焼きハンバーグってだけでご機嫌な日でもある。そんな午後。
バイト先の事務所でたいやき(大好きな白あん)を差し入れに貰って私は超ご機嫌だった。
このご機嫌は、とあることによって台無しになる。
「きょ……今日も不在なの……!?」
頭上を照らすシャンデリア。花瓶の上で死んだ花が生き生きとした姿で出迎え、まるで今から舞踏会でも始まるの?って言わんばかりの空間に私の落胆が響いた。
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