第42話

なんでここにいるの…?



驚きすぎて、目が回ってきた。





「なん、で…」



「なんでって、暁くん沙桐のお見舞いに来てくれたのよ」




お見舞い…?



それよりも気になるのはお母さんの隣にあるスーツケースと厚手のコート。





「それより、沙桐ごめんなさい。急に仕事が忙しくなったらしくて、今から帰らなきゃいけないのよ…。ごめんね、4時間後の飛行機だから今から出ないと間に合わないの。暖かくして寝なさいね」




「だ、いじょうぶ………。行ってらっしゃい」






そういうのがやっとで、お母さんはコートを着て、足速に玄関へと向かっていった。



「暁くん、ごめんなさいね。ろくなおもてなしもできない上に沙桐の看病まで変わってもらっちゃって……」



「そんなことないですよ。安心して任せてください」




「じゃ、沙桐またね。暁くんに沢山甘やかしてもらいなさいね」





そう言って出て行ったお母さん。






そんなことよりも




"看病まで変わってもらっちゃって"……?




"沢山甘やかしてもらいなさい……?"





「神代くん…、どういうこと…?」





「俺が看病する」





「え……………」






神代くんはあたしの方を向いて、急にしゃがんだと思ったら、あたしの膝の後ろと背中に腕を回して抱き上げた。




「ひゃ……っ!」





「沙桐は何も気にせずに俺に任せとけばいいよ」







そして、あたしの唇にキスをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る