第24話

一時限目を告げるチャイムが鳴り、それぞれちらばっていた生徒が自分の席に戻る。




あたしも澄子に声をかけ、自分の席に戻る。



授業が始まっても、集中できず、ただ機械的にノートを移すだけの時間。




今日は、学校来てるのかな……



昨日の今日で多少顔を合わせるのが気まずくて、学校には来てたほうがいいんだろうけど、居ないでほしいと思う気持ちも少しある。




考え事をしてるとあっという間に過ぎていく一日。




澄子は臨時で頼まれたバスケ部のマネージャーで今日は一緒に帰れないと昼休みに言われた。


すぐに帰ってもやることがないあたしは教室に残り、今週の課題を終わらせて帰ることにした。




1時間もすると課題が終わり、重い足をひきずって教室を出る。





廊下には人一人見つからず、静かすぎる廊下にあたしの小さな靴音が響く。




一歩進むごとに昨日のことが頭の中を巡っていく。




捨てられる前に……か




好きなんて言っておきながら怖くて逃げてるのはあたしなのかもしれない。



離れたくなんかない。



こんな関係でしか繋ぎ止められないならそれでもいいのかもしれない。









「……あ、れ?」




視界が滲みはじめ、次々に涙が溢れだす。




拭っても拭っても止まらない涙。




いつの間にか長い廊下の真ん中で立ち止まっていた。




嗚咽の漏れる口を両手で抑えて壁に寄って体を預けるようにズルズルと座る。




固くて冷たい壁が冷えつづけるあたしの体を更に冷やしていく。




震える体を自分で抱きしめる。




でも、少しも温かくはなってくれない。




もう、あたしの体を温められるのは彼しかいない。




あたしを気まぐれに弄ぶような最低な人。




でも、あたしには誰よりも温かくて安心する人。

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