第8話

素直に怖いと思った。



神代くんならやりかねない。




だから、嫌でも口は動く。





「…するから、付けて…お願いだからっ」




神代くんの腕の中でただひたすら泣きながら返事をする。



満足そうにあたしにキスをする神代くんは、残りの下着を外す。



「沙桐、本当にお前可愛いね。泣かなくてもいいよ、痛くしないから」




優しく抱きしめながら、優しくあたしをなだめる。




未だに泣き続けるあたしの頭から背中にかけてを何度も何度も撫で続けてくれる。




「……っ、したくない……っっ」




こんなに優しくしてくれるのに、抱くことだけは絶対にやめてはくれない。




「可愛い沙桐の頼みでもそれは無理。泣くなよ、痛くしねえし、上でしなくていいよ」




「いや……っ、今日はやなの………っ」




いつの間にか神代くんを跨ぐようにして抱っこされながら抱きしめられ、駄々をこねているあたし。





それでも、結局この日もあたしは神代くんに抱かれたんだ。



とびっきり甘く。

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