第7話



 懐かしそうに、先輩は窓際の棚を見る。


 今は「おすすめ本」の棚として、本が数冊置かれている。

 だけど、それは目線が行く上段だけで、下段のほうは何も置かれてはいない。


「今年から置かなくなったんですかね?」


「んー、だろうなぁ。今年の頭は、あんまり図書室来てなかったから気付かなかった」


「なんでなくなったんだろ」と、先輩はぼやきながら立ち上がる。


 どこに行くのだろうと目で追っていると、カウンター脇のドアをノックしていた。


谷部やべちゃん、そこにあったマンガってどこ行ったの?」


 カウンターの後ろは、司書の先生がいる小さい部屋。


 茅野先輩は慣れたように、その部屋にいる先生に声をかけていた。


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