第2話 あなたの中の私
梢が「やっほー。相変わらず元気にしているの?」と笑顔で辰秋を見ていた。
辰秋は「朝っぱらから何だよ?俺は、今から朝ご飯を食べると言うのに」と梢を横目で睨んだ。
梢が「そんなに怒らなくても良いじゃない。あんたの事を折角、心配して来たのに」と嫌にニヤけて居た。
辰秋は、「お前、今日何しに来たんだ?」と梢に思わず尋ねた。
梢は、ビールを口から吹いて、「何って?それは…、なんて言ったら良いんだろう?」と何かやましい事でもあるのか、テレビの前にある、お金を盗んで行った。
看護師さんが、「あら?テレビ見るために辰秋さんが置いて居た1000円がありませんね?何処に行ったか知りませんか?」と辰秋に聞いて来た。
辰秋が「あ、本当だ。誰にお金を盗られたんだろう?アイツか?」と看護師に話をすると、看護師さんが「アイツって誰ですか?」と辰秋に聞き返した。
辰秋が「あの、さっきまで見舞いに来た梢(こずえ)です。アイツ、お金が無くて困って居て、ちょうど俺のお金があったから手を出して盗んで行ったんだ」と看護師さんに伝えた。
看護師さんが「そうですか?あまり知り合いでも、どんな人か分からない間は、どう言う行動を起こすか分からないので、今後お金を盗まれない様に気を付けて下さいね」と辰秋に指摘をした。
辰秋が「分かりました。今後、アイツが来たらこっぴどく叱って置きます」と看護師さんに話をした。
看護師さんが「分かりました。じゃ、今回はテレビのお金が無いと言う事で、テレビが見れませんが良いですね?」と辰秋に訊ねた。
辰秋が「あぁ、すいません。じゃ、そう言う事で、よろしくお願いします」と看護師さんに頼んだ。
辰秋は翌日、コンビニまで歩いて行って雑誌を買って、読んで居た。
部屋に戻ると、梢が「お、今日もお見舞いに来たよ」と笑顔で話し掛けて来た。
辰秋が、コンビニで買った雑誌をテーブルに置いた。
梢が「あ、コンビニで雑誌を買ったんだね?」と辰秋に話し掛けると、辰秋は「あぁ、そうだよ。それもこれもテレビを見ようとして居たのに、何処かの誰かさんが俺のお金を盗んで行ったからな」と梢を見ていた。
梢が「ごめん。バレてた?私さ、最近お金が無くて困って居たんだよね?ブラックコーヒーが飲めないほど貧困でさ」と辰秋にお金をねだる様な言い方をした。
辰秋が「悪いけど、俺もお金はほとんど無いし、お前に上げられる程のお金はないから諦めて欲しい」と梢に率直に指図をした。
梢が「あぁ、分かったよ。あんたはそんなに冷たい人だとは思わなかったよ。もう、あんたに頼まないよ」とはっきりと物を言った。
辰秋が「しょうがないよな?俺だって好きな事に金かけて居るからな」と梢に返事を返した。
辰秋は、新聞を見て常に馬券を買って、競馬の予想を立てるのが日頃の楽しみでいつもの様にお金を賭けて居た。
清美が来て「またあんた、競馬をやっているの?そんなのにお金を賭けて居たら、いつか貧乏になるわよ」と注意を受けた。
辰秋は「あー、もう、母ちゃんに俺の気持ちの何が分かるんだよ?キチンと俺の悔しい気持ちが分かるのか?負けたんだよ」とはっきりと気持ちを伝えた。
清美が「あんたが、そんな事をして居るから、いつになってもお金は貯まらないし、借金しそうになった時に誰がお金を出して居ると思って居るの?」とキツく辰秋を叱った。
辰秋は「あー、分かったよ。ちょっとタバコを吸って来るよ」と外に出てタバコをぷかぷか吸って居た。
辰秋が「梢?何をして居るんだろう?」と梢の跡を追って行くと、梢はお金を借金して、闇金融に引っかかって居た。
闇金融から「これで良いな?じゃ、もう借金すんじゃねーぞ」と梢に話し掛けて、梢は悔しそうに涙を流して居た。
辰秋は何も言葉にならなくて、悲しそうにして居た、梢に胸がいっぱいで何も言えなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます