第9話

シャワーを浴びたあたしは、1枚980円で買ったTシャツに袖を通す。どうせユニホームに着替えるんだからお洒落をする必要はない。Tシャツにジーパンというのがいつもの出勤スタイルだ。


そして軽く化粧を済ませ、冷蔵庫に入っていたサラダを食べてからコンビニへと向かう。


アパートからコンビニまでは徒歩10分の距離だ。


バスやタクシーに頼るほどの距離じゃないため、街灯のおぼろげな明るみに照らされた住宅地を、なるべく早歩きで進んでいく。


深まった夜の住宅地に人通りはなく、連なる家々から漏れる明かりも、カーテンの分厚い生地よって遮られてしまっている。


そんな夜の一角を、コンビニという四角い箱が青白く照らす。


自動ドアを抜けて何気なく店内へ目を向けると、中では2~3人の客たちが暇を持て余していた。




「お疲れ様でーす」

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