Act.1

世界が壊れた日

第1話

理由は何となく。


そんなしょうもない理由で、あたしは高一の夏に学校を辞めた。



前触れなんて皆無。


目立たず、騒がず、だからといって協調性がないわけでもない。



成績も普通。


生活態度も普通。


交友関係も普通。


というより、愛想笑いの得意だったあたしは、これだけは良好と言ってよかったかもしれない。


ほどよく学校という枠に嵌まっていたあたしは、誰が見ても普通と呼ぶに相応しい生徒だった。



つつがなく高校生活を送る自分。


手のかからない子供。


だからこそ両親はあたしの道義に外れた行為を許さず、高校中退と同時に古びたアパートでの一人暮らしを余儀なくされた。


枠の中で築いてきた友情も、あっけなく壊れた。

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