君の描く空は

第1話 心の中の夢

母のミツヨが「カズオ、おはよう」とガタガタと音を立てて味噌汁を作って居る。

カズオが「朝ご飯まだかよ？くたびれた」とテーブルの椅子に腰掛けた。

ミツヨが「はいはい、待って居てね」とカズオに向かって話し掛けた。

カズオが「じゃ、悪いけどパンだけ食べて出掛けるね」と言い残し、バックを持って自転車カゴに入れてヘルメットをして出掛けて行った。

ミツヨが「全くパンを口に入れたまま行くなんてだらしないわね？」とカズオが見えなくなるまで見送った。

シホが「おはよう。カズオ」と元気な声で挨拶をした。

カズオが「お前ってさ？俺の家の隣に住んでんだっけ？」と話し掛けた。

シホは「そうよ。ミツヨさんって、カズオのお母さんだもんね？私のお母さんのハナエはカズオのお母さんの同級生だから何でも知って居るよ」とそれとなく、母の話題で持ちきりになった。

カズオが「ふーん、そんなのどうだって良いよ。俺はこの先、花屋を継ごうと思ったんだけど、カートレーサーになりたいんだよな？」とポロッと口から将来の事について話を出た。

シホが「ふーん、カートレーサーね？私はまだ何をやるかは考えて居ないんだよね」とカズオに話をした。

千部橋に差し掛かった頃にシホが「じゃ、お先に」と凄い速さで自転車に乗って駆け抜けて行った。

カズオが「俺も行かなきゃな」とボソッと独り言を言いながら中学校に着いた。

校庭は広く、教室の窓からは暖かい光が入って来て居た。

カズオは「やっぱり、学校広いよな？」とボケーっと外の景色を眺めて居た。

コウヘイが「よっ、カズオ。今日お前、暇だろう？ちょっと付き合えよ」とカズオに声を掛けた。

カズオが「何だよ？バレーやってるのか？」とコウヘイが体育館の中でボールを渡した。

コウヘイが「な？良いだろう？バレーボールは身体を動かして運動するには良いんだぞ？」と張り切ってボールを打ち上げて、腕でボールを打ち返した。

カズオが「うわ、すげーな。俺は見て居るだけで打ち返せねーよ」とコウヘイに話し掛けた。

コウヘイは「全くみっともないな？少しはボールを打ち返したらどうだ？」とカズオに返事を返した。

コウヘイが「ヨシ、これで、試合の練習が終わったよ。付き合ってくれてサンキュー」とカズオにタオルを渡した。

カズオも汗をかいたのかタオルで顔を拭いた。

体育館の外階段で隣に自動販売機があって、そこの前に立ってコウヘイが「何が良い？」とカズオに声を掛けた。

カズオが「アクエリアス頼む」と話をして居たので、お金を入れてボタンを押した。

コウヘイが、ガチャンと音を立てて自動販売機の受け取り口からアクエリアスを出した。

コウヘイは、ただのブラックコーヒーのボタンを押して手に取った。

カズオが「やっぱり、アクエリアスだよね？旨い」と蓋を開けて小さいペットボトルに口を付けた。

コウヘイは「俺はブラックコーヒーが好き。父ちゃんがよく飲んでいたから、俺もブラックコーヒーを飲む様になったんだ」と誇らしい顔をして居た。

カズオが「そうだ。コウヘイ、今度バレーボールの試合頑張ってな？」とコウヘイに伝えた。

コウヘイが「おう、頑張るよ」とカズオに話し掛けた。

それからと言うもの、カズオは図書館に行って、車の本を見る様になった。

大人用カートで、25万円以上の値段で買えるものが殆どで、今持っている所持金では25万円には到底届かなかった。