いち
鈴
第1話
――チリン
――――チリン
………まただ……
またこの “夢” だ……
俺の大嫌いな闇の中で響く、透き通った様に美しい 鈴 の音色
いつの日だったかはもう分からないが、初めてこの“夢”を見てからたまに―――
何日か間を空けて これを見る様になった
何故かは やはり分からないが、俺はこの 音 が好きだ
大嫌いな闇の中で聴くのに
いつもなら そんな処に居たら
きっと壊れていただろうに……
でも
もっと此処に居たい
もっとこの 音 を聴いていたい
そんな想いとは裏腹に、俺は誰かに揺り起こされた
「―――、おい起きろ
HR始まるぞ」
横の席の奴に起こされたのだと理解して、此処が教室だった事を思い出す
朝、学校に来て本を読んでいた途中で寝てしまっていた様だ
「……すまん、ありがとう」
横の席の奴に小さく謝罪と礼を言う
「良いって
それより今日このクラスに転校生来るってよ
知ってた?」
「……いや…」
そいつに言われて初めて知った
そこでこのクラスの担任が教室に入って来た
「全員席着けー
転校生紹介すっから
ほら、来い」
担任に促され、転校生が教室に入ってくる
興味のなかった俺は窓の外を見た
今日も快晴だ
「転校生、自己紹介」
担任が転校生に自己紹介を促す
それに応える転校生
「あ、はい
鈴原――凛夜(スズハラ リンヤ)です」
その声に過剰に反応したのは俺
鈴の様に透き通った綺麗な声
焦げ茶でふわふわな猫っ毛
クリッとした大きな瞳
男子高校生の平均身長より少し小さめな身長
そんな転校生を見ると、そいつ
鈴原 凛夜は俺の瞳を見て言った
「よろしくね?」
チリン と、あの鈴が鳴った 気がした
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