【エピソード感想】Dr.ダゴンのアナザー険究所/文章魚さま 《1》
>◇「参加作」を読もうと思った理由:あり
一度見たら忘れないであろう〝タイトル〟に惹かれました。キャッチコピーも良いですね。このドクターの性質が一目瞭然です。あらすじを拝見するに、どうやら〝アナザー〟という名のアノマラスな存在を〝険究〟しているとのこと。この感想を書くにあたり、〝険究〟を辞書登録いたしました。もしかすると、今後私の作品にも険究が登場する可能性もありますが、間違いなく誤字ですのでご安心くださいね。
*
>序章 不思議な『険究所』
Dr.ダゴンこと〝ダゴン=アシミノーク〟による歓迎を受けての始まりです。こうした読者に語りかけるような始め方は、物語の世界へ引き込む力がすごいですね。私も一度だけやったことがありますが、彼のような「ちょっと変わっている人」に迎え入れてもらうと非常にワクワクいたします。
どうやら〝危険な事象を冒険しながら研究する〟という意味を込めての〝険究所〟とのこと。読者が真っ先にいだくであろう疑問に答えてくれるのもDr.ダゴンの良いところですね。親しみの持てる人物です。
続いて〝アナザー〟の説明もしてくれるのですが、こちらは〝この世界の常識から外れた「別の世界のもの」の総称〟とのことで、〝一般人が関われば、心身に危険が及んだり、逆にメリットがもたらされたりする〟らしいですね。どうやら、私が想像していたものと、大体は同じもののようです。これは楽しみでございます。
この険究所の険究員は、Dr.ダゴンお一人のようですね。そして読者である私は〝記録士〟とのこと。今日が仕事の初日といったところでしょうか。
それではDr.ダゴンのことを、今後は「博士」と呼ばせていただきます。さあ、張り切ってまいりましょう。
>Report-1(1) 白き追憶の『半能薬』
最初のレポートは〝薬〟のようですね。どんな症状も治す薬は欲しいですが、副作用や依存性などは気になりますね。服用をやめた途端に倍返しを食らってしまうなんてことも。
さて、そんな私の感想はさておき、博士は〝万能薬の正体を調べてほしい〟という依頼を請け、〝ツグミ〟と名乗る女性の家を訪れたようです。どうやら彼女は半年前にトラックに撥ねられ大怪我を負ってしまったそうなのですが、〝万能薬〟によって回復したとのこと。
しかし、この薬は自ら使用したものではなく、謎の黒装束の二人組によって無理やり飲まされたようですね。いわば人体実験でしょうか。非常に危険な予感がいたしますね。ここで博士は用意された紅茶を飲もうとカップを持ち上げはするものの、口は付けずに下ろします。非常に賢明な判断ですね。
ツグミへのインタビューを終え、博士は彼女の家を出ます。どうやら何かを察しておられるようですね。この場面での博士はまさに「切れ者」といった、堂々たる佇まいを披露しておられましたね。さきほど「私」を迎えてくださった時の気さくな感じとは違う、紳士的な一面も魅力的でした。
>Report-1(2) 白き追憶の『半能薬』
博士が知人である、情報屋の元を訪れる場面からスタートですね。どうやら黒装束の背中に描かれていた〝ハート型の葉と十字形の花弁がある花の刺繍〟についての情報を聞きに来た模様。
知人との会話から、例の刺繍が〝ドクダミ〟であることがわかります。そして裏には怪しげな宗教団体〝仏草會〟の姿が。ぶっそうしゃ、と読むのでしょうか。なかなか物騒な響きですね。姿を消した〝ツグミの恋人〟と、ドクダミの花言葉である〝自己犠牲〟の関連性も気になりますね。なんだかワクワクしてまいりました。
そして場面は変わり、古びた洋館へと着いた博士。洋館のあるじである〝志布岐 重歳〟と対面し、〝万能薬〟について、彼へのインタビューを行ないます。この主人は〝しぶき じゅうさい〟で良いのでしょうか。少なくとも、博士と志布岐は互いに苗字で呼び合っておりますので、特に問題はありませんね。
どうやら志布岐によると、万能薬の正式名は〝捧命薬〟と呼ぶそうです。命を捧げる薬と書く時点で、怪しさがあふれておりますね。
>Report-1(3) 白き追憶の『半能薬』
館の裏道に先にある、ドクダミ畑とお墓の場面からスタートです。志布岐いわく、〝ここには薬を求めてきた人たちが眠っており、それは彼らが望んだこと〟だそうですね。もう、大体の事情が把めてまいりましたね。
ここの博士と志布岐のやりとりは、個人的には大好きですね。無理に「善」か「悪」かを決めつけることなく、ただ「あるがまま」を受け入れている。これぞ研究者――いえ、険究者の鑑といった場面でした。
そして最初のレポートは終わり、博士からの労いの言葉をいただきます。やはり博士は砕けた口調で記録士である「私」に話しかけてくれますので、なんだか自分自身が特別な存在になった気分を味わえますね。読んでいて、とても気分が良いです。
>Report-2 『ダンス風呂ア』は沸いている
タイトルからはコメディ色を強く感じますが、今回はどのような〝アナザー〟が登場するのでしょうか。とても楽しみですね。
どうやら博士は温泉巡りにはまっているらしく、〝訪れた温泉で出会った人にオススメの温泉について聞き、次に行く場所を決める〟というルールを自身に課しているそうです。なかなかの玄人ですね。
そんな博士が〝ある旅館〟を訪れた際、女将さんから〝明るい音楽が流れていて、皆が楽しそうに踊っていた〟という温泉を教えてもらったとのこと。なるほど、現時点までの情報ですと、楽しい場所のような気がいたしますね。
さて、
番頭の老人から〝初めてなら「FLOOR」にしときな〟とのアドバイスを受け、博士はそちらの暖簾をくぐることに。ガラスの扉の先には大浴場があり、どうやら混浴のようですね。そこで博士は、女性から声を掛けられました。
どうやら女性は常連客らしく、彼女の言葉どおりに大浴場にはミラーボールが出現し、アップテンポな音楽が流れはじめました。そして周りで踊りだす人々につられるように、博士も全裸で踊ります。
やがて曲とミラーボールは何事もなかったかのように消え、浴場には充足感に満ちた入浴客だけが残りました。彼らは皆、満ち足りた表情で、再び汗を流します。
入浴を終え、番頭へのインタビューを行なう博士。温泉の名前の由来は教えてくれたものの、ミラーボールや音楽については謎とのこと。これについて博士は、温泉の異常性に連動して発生したものであると仮定します。
そんな博士も、すっかり〝鶴の舞湯〟の虜になってしまった様子。再度ここを訪れた際には「STAGE」の暖簾をくぐり、その性質も判明したようでした。
さて、これで二つ目のレポートも終わり、いつもどおりに博士からの御言葉を頂戴します。ここのやりとりが、私はとても好きですね。
>Report-3 コーヒーカップと『湯気女』
今回は〝怪談のようなアナザー〟が登場するとのこと。なんだかとても楽しみですね。タイトルにある〝湯気女〟が関係しているのでしょうか。
それは前回の話にも登場した、博士の〝温泉巡り〟の際に起きた出来事のようですね。雪山にある風呂付きの山小屋に、一人で宿泊した博士。
どうやら、その山小屋はそこそこ広く、ネットも繋がらないような環境ではあるものの、なかなか良い場所であるようです。
そんな時、一人で本を読んでいた博士の元へ来訪者が現れます。なんと、その人物は〝Report-2〟において博士に声を掛けてくれた女性〝ユキ〟さんでした。寒さで凍える彼女に対し、一番風呂を提供する博士。いいですね、とても紳士だと思います。
しかし、入浴中のユキさんの様子から、ある異変に気づいた博士。彼は慌てて風呂の扉を開いて彼女の無事を確認しようとするも、そこに彼女の姿はなく、立ちのぼる湯気があるのみでした。ここは念のため、伏せさせていただきますね。
お風呂あがりのユキさんに対し、インタビューを行なう博士。どうやら彼女は人間ではないらしく、彼女自身も正体はよくわからないとのこと。〝Report-1〟の時もそうでしたが、人間ではない人型実体が普通に生活している世界観のようですね。なかなか興味深いです。もっと色々と知りたくなりますね。
そして今回のレポートも終わり、お楽しみの博士からの御言葉タイムです。なんと今回は新たな仲間も紹介してくださいました。これは非常に大好きな展開です。最後の報告書内の文字にも注目ですね。とても楽しかったです。
*
さて、これで各エピソードの感想を終えさせていただきます。あとは次のページにて、各オプションに基づいた感想のまとめを述べたいと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます