【各エピソードの感想】EX-piration!!/作者:丸三角 四角さま 《1》

>◇「参加作」を読もうと思った理由:あり


 タイトルとあらすじに強く惹かれました。現代ドラマであり、現代の高校が舞台だとは思われるのですが、どこかファンタジックさも感じさせる、非常に良いあらすじであると思います。キャッチコピーの勢いも素晴らしいです。


 退学を賭けた頭脳バトルといった感じの内容でしょうか。残酷描写のレイティングが無いので、安心して読み進めることができそうですね。とても助かります。




>1章 達成度考査 編 01


 春ですね。主人公の語りからスタートです。


 いきなりなんですが、彼の比喩表現が秀逸だと感じました。一匹狼を〝原子〟に例えるのは、ちょっと思いつきません。とても素晴らしいですね。主人公が優秀な頭脳を持った、少し陰のある男子高校生であることが窺えます。そして彼の名前が〝かぐけいすけ〟であることもわかりました。


 オプションにありました〝ルビ・ふりがな〟なのですが、丁度よい具合ではないかと思われます。〝ちゅうたい〟などは読めませんでしたからね。勉強になりました。登場人物の名前にふりがなが振ってあるのも読者目線でいいですね。


 ただ、〝津々浦々つつうらうら〟のように一度に振るとズレてしまう場合があるので、「うらうら」といった具合に一文字ずつ振りますと、綺麗に見えるかと思われます。もしよろしければお試しください。



 主人公は私立幕張学園高校に入学するも、入学早々にして過酷な試験に巻き込まれてしまう。どうやら裏には資産家団体も絡んでいるようで――?


 今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 02


 ややキナ臭いホームルームが終わり、友人らとの会話シーンからスタートですね。主人公の神楽、ヒロイン(暫定)の倉本、友人の瀬川を中心として物語が進行するようです。私は男子校だったので、こうした女子を交えての会話は経験がないのですが、高校生らしさを感じさせてくれる良い場面だと感じました。


 そして〝目の奥の痛み〟を感じた主人公。

 これは絶対に、ただの体調不良というわけではなさそうですね。


 物理学の話の内容は私の頭では理解はできませんでしたが楽しく読むことができました。こうした話は良いですね。脳が刺激される感覚が心地よかったです。


 前回のアメフト系教師に続き、米兵スタイルの女性教師が登場したことも印象的で、常に物語に「楽しさ」が散りばめるという気配りを感じます。はたしてこの高校は、いったい何が目的なのか。



 神楽、倉本、瀬川の三人は互いに連絡先を交換し、早くも友人関係を築いた。

 今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 03


 場面は飛んで5月ですね。テンポ感という意味でも良い進行ではないでしょうか。特に学生ともなると、月ごとにイベントごとがあるようなものですからね。


 この主人公の語り口調と〝ぺこん〟という擬音のギャップが良いですね。〝コミュ力〟という言葉を使っていた時にも思ったのですが、しっかりと「主人公は等身大の高校生である」と、定期的に再認識させてくれる良いギミックであると感じました。


 今のところ友達三人組は〝仲間〟であると認識しながら読んでいるのですが、果たして今後も彼らの友情が続いてくれるのか。そこが楽しみなところですね。



 ただ者ではない教師にただ者ではない生徒。そしていよいよ試験が始まる。

 今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 04


 ヒロインである倉本さんの家での勉強会からスタートです。倉本さんは〝全科目の点検会〟と呼んでいましたね。


 どうやら彼女の家は、かなりの資産家の様子。ここに置かれていた〝壷〟も気になるところですね。この聡明な主人公が気にするくらいです。タグに〝タイムリープ〟とあることからも、何らかの仕掛けがあるのかもしれません。


 そして脳裏をよぎる〝銀髪ピアス女子〟のイメージ。今のところ、誰が敵で誰が味方なのか、それとも「そういう話ではない」のかといったことが不明なため、あらゆる方面に思考が膨らみますね。読んでいて楽しいです。


 倉本さんの父親の仕事は製薬会社の役員のようですね。社名は〝明星バイオ〟というらしいです。――バイオ。嫌な予感しかいたしませんね。


 そういえば、あの高校の裏には資産家団体も関わっていたとありましたね。どうも様々な思惑が絡んでいる予感がいたします。


 順調に進んだかと思われた勉強会。しかし帰り道で、主人公〝神楽〟の身にとんでもない出来事が――。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 05


 病室にて目覚めた神楽。幸いにも命に別状はないようだが。幸いの基準は人それぞれですからね。彼の心情を察するに、助かったことよりも試験に出られなかったショックが大きい様子。


 そして神楽の出身地が北海道であることも明らかになりましたね。両親と妹の四人家族、妹は一つ下。とても羨ましいですね。


 両親の様子や神楽の解説を見るに、あの高校は真っ当な教育機関ではあるようですね。とはいえ、私は基本的に物語をファンタジックに見ますので、まだ何かがあると睨んでおります。


 倉本さんへの疑心をいだき始める神楽。私も彼女の〝蹴落とす試験じゃなくて良かった〟という言葉がどうにも引っかかっていますね。



 病院からの帰り道、主人公は見知らぬ公園に迷い込む。そこで視界が真っ暗になり――。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 06


 倉本さんの声で気がついた神楽。

 そこはなんと、部活の相談をしていた4月の光景だった。


 来ましたね、タイムリープ。そして、この振り向いた場面は〝目の奥の痛み〟を感じたあたりですね。――と、いうことは。今後も何かしらの〝痛み〟を感じた瞬間に戻るというサインなのかもしれませんね。



 公園で気を失った神楽だったが、なんと目覚めた場所は、過去の入学式の日だった。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 07


 神楽の自宅からのスタートです。どうやら彼は、この現象を〝不条理〟であると捉えている様子。私であれば「やり直せてラッキー」と捉えてしまうのですが、確かに発動条件も原理もわからなければ、これを不条理と捉えても仕方ありませんね。


 やはり倉本さんの家に行ったことが原因でしょうか。彼女の母親がお茶を出してくれていましたし、そこに新薬でも混入されていたのかもしれません。


 そして神楽自身も〝これ〟をチャンスと捉え、前回とは別のルートを歩むことを決めたようです。しかし、エアロビクスとは数十年ぶりに聞いた単語ですが、そもそもこの作品世界はいつ頃の話なのでしょうね。携帯や動画、チャットアプリがあることからも、現代か近未来のイメージですが。その辺りも伏線になっていそうです。



 前回とは違う選択肢を選び、とにかく「生き残る」ことを選んだ神楽。そして彼は、無事に試験当日を迎えた。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 08


 無事に試験を乗り切った主人公。彼とは裏腹に、倉本さんは尋常ではないほどに弱っている様子。そんな彼女と入れ替わるように、あの銀髪少女が登場ですね。


 どうやら彼女は〝あさ〟という名前のようですね。ペンギンのマスコットを持っていたり、自分の漢字表記を教えてくれたりと、冷たい印象に反して可愛らしい子のようです。


 〝脳の使っていなかった部分に血流が流れ込み活性化するような感触〟本作を読んでいる私もまさにそんな感じです。とても面白い作品だと思います。



 1度目は、そして2度目は――と物思いに耽る神楽。そして彼の視界はブラックアウトするのだった。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 09


 3度目の4月9日を迎えてしまった神楽。今回は倉本さんの声に振り返らない選択をしたようです。この不合理に憤る神楽ですが、頭の良い単語に混じる〝運ゲー〟が良い味を出していますね。こうした少し未熟さを感じる点が、彼の魅力であるともいえます。ゲームに例えてくれるのも、私としては非常に理解がしやすく助かります。


 それにしても、ループの条件が〝良い意味で〟気になりますね。共通点としては、何かを食べたか飲んだかしたくらいですが。あとは朝霞さんの存在ですね。



 またしてもタイムリープに巻き込まれてしまった神楽。彼はその原因を探るべく、調査を開始する。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 10


 今回は最初の世界と同様に、友人三人と組むことにするのでしょうか。


 そういえば、倉本さんの「物理」の台詞が少しだけ変わっておりますね。些細なシグナルを見逃すと言ってはいたものの、〝似た発言〟で済ませて良いのでしょうか。家が金持ちである点からも、どうにも彼女は信用してはいけないような気がします。


 そして倉本さんに続き、瀬川くんにも変化がある様子。二人からは妙な違和感というか、不気味な不安感を感じますね。この時点で、何かを仕込まれていなければ良いのですが。そもそも、この高校生たちは全員が天才みたいなものですからね。主人公だけが特段優れているわけではないので、捲られる可能性も無きにしもあらず。


 そして瀬川くんの父親は証券会社の勤務とのこと。こちらも私のイメージ的には、金持ちに分類されますね。しかし〝競馬で当てた金〟となると、標準的なサラリーマンといった感じなのかもしれませんね。



 最初の世界と同じルートを辿ろうとする神楽だが――。果たして今回の三人は、無事に友人となれるのか。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 11


 ぺこん――からの開始です。非常に良いですね。どうにも不穏な空気が漂いつつあったので、少し気持ちが楽になりました。悪い意味ではないですからね。本作の、物語への没入感がすさまじいという証拠です。


 今回は瀬川くんは汗だくにはなっていないようですね。東京の地理はよくわからないのですが、走ってはこなかったようです。倉本さんの母親の台詞と相変わらずの〝謎の壷〟そして彼女の部屋には〝うさぎのぬいぐるみ〟がありますね。



 あからさまなほどに〝怪しさ〟ばかりがクローズアップされている倉本さん。果たして彼女の思惑は――。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 12


 まさに手詰まり状態といった感じですね。倉本さんは、かなりのやり手のようです。絶対に何かを知っていますね。


 ここで神楽の家族が再び登場です。どうやら妹は兄と同じ高校を受験する様子。まさか妹が真のヒロインだったりするのでしょうか。それなら私は嬉しいのですが。


 家族との何気ない電話。そこで飛び出した〝通り魔〟という文言。そして、その被害者とは――。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 13


 思わぬぎょうこうといった始まりですね。この〝僥倖〟には「ふりがな」があると良いかもしれません。ここまでは難読漢字もなく、スラスラと読めていただけに引っかかりを感じてしまわれるかもしれません。


 ずっと面白いのですが、今回のエピソードは特に食い入るように読んでしまいましたね。物語が加速度を得て真相へと突き進んでいるような感覚です。この感覚は、まさに「ミステリ」を読んでいる時に味わうものですので、ジャンルを現代ドラマからミステリに変更するのも良いかもしれませんね。この作品は確実に、ミステリ好きに刺さります。あくまでも私の主観ではありますが、よろしければご検討くださいね。



 ループの原因が倉本さんにあると仮定した神楽。果たして彼の選択の先に待つ結果とは――。今回は、そういったお話でした。




>1章 達成度考査 編 14


 無事に最後の勉強会を終えた三人が、解散する場面からの始まりです。ここの倉本さんは本当に可愛いのですが、やはりそこはかとない恐怖心を煽ってまいりますね。そして瀬川くんは、やはり走って帰る様子。


 ここは敢えて伏せさせていただきましょうか。とても臨場感があり、感動的な場面でした。〝そう思った〟この一言が、どうにも不穏な空気を放っておりますね。




>1章 達成度考査 編 Period


 私も神楽と同様に、PCの前でガッツポーズです。しかし46℃の風呂に入れるのは、なかなかの強者ですね。私は42℃でも熱いです。


 これまでの展開が嘘のように爽やかで清々しい締めくくりですね。瀬川くんの台詞が良い味を出しています。ついに高校生活に戻ってきたという感じですね。



             *



 さて、これで各エピソードの感想を終えさせていただきます。あとは次のページにて、各オプションに基づいた感想のまとめを述べたいと思います。

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