第118話

ふっと笑うと、永倉は月を見上げる。



「…俺、やっばり…。」



そこまで言うと、また唸りながら頭をガシガシと搔き回した。



頭を抱えた姿勢のまま、やがて彼は動かなくなった。



それを横目で見ながら、原田はぐいっと酒を煽る。



こうなったら、もう待つしかない。



この古い友人は、悩みだしてからが長いのだ。



「…俺。」



腰を悪くしそうなその姿勢のまま、永倉は再び口を開く。



が、やはりその続きが無い。



痺れを切らした原田は、トンっと徳利を置いた。



「わーったよ。竹内の…この前の事だろ?」



「…ああ。」



「新八のしたい様にしろよ。お前は頭が良いんだから、大抵の事は当たってんだろうよ。」



「…。」



むっくりと体を起こした彼に、原田はバシッと背中に一発お見舞いする。



「ってぇ!」



「俺はいつでも乗ってやっからよ!それに、言いたい事面と向かって言えるのも、仲間だろ?」



「…ああ、そうだな。」



ククッと笑った永倉は、少しだけ晴々とした気分になった。



「仲間、だもんな…?」



弱気な自分にそう言い聞かせながら。

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