第74話

「姿は見せない、よね。」



「影は闇に生きるものよ…しかしまあ、お前さんの望みなら叶えてやろう。」



一歩、また一歩と近付く重い足音。



苦無を持つ蝶の手に自然と力がこもる。



そして、



「…っ!?」


ドスッ



再び、蝶の頬を掠めた鋭利な刃。



避けた拍子に、彼女の覆面がハラリと取れる。



「…不意打ちに命を狙ってくるとはな。」



「卑怯と言うか?お前さんのような、我のような、天の光に見放された者が。」



嘲笑う声と共に、漸く見えたその姿。



蝶の二倍はある大男、それであって物音ひとつたてない仕草は、彼自身の技術の高さが表れている。



「どちらにせよ、もう止まれまい。互いに顔が割れた以上、どちらかが…いや、お前さんが死ぬまで刃を向け続ける運命よ。」



男も武器を取り出すと、静かに構える。



チャキ…ッ



高い金属音が嫌に響いた。



その瞬間…

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