第20話

「あ、あの。よければ今日の夜ご飯でも行きませんか」



僕が宮さんにしてもらいたかった提案を峰さんがした。


宮さんとご飯に行きたかった、なんて。

酷く、失礼なことが咄嗟に頭をよぎって、自分が嫌になった。




ごめん用事があるんだ、と返事をすると



「………そうですか。では、また今度にでも!」と明るく返された。




用事なんて全くないけれど、こんな状態の僕とご飯に行ったて楽しくもなんともないだろう。

十中八九うわの空で、ろくに話も出来ないと思う。




気づたら休憩も終わり、午後の就業が始まる。


仕事してる方が、いくらか気が紛れた。







────攫ってしまおうと本気で考えるようになったのは、この日の帰り道の出来事にある。

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