11. 山のお化け

「お嬢ちゃん、山をなめたらいかんよ」

 そのお化けに出くわしてすぐ、アリソンは土の上に座らされてしまった。そして、たちまち説教を聞かされる羽目になる。

「昔から山はな、神様の住む処と言われているんだ。ときに迷わせ、ときに命も奪う。山は恐ろしいところなんじゃよ」

 アリソンは黙って真剣に聴いているふりをした。こういう手合いは気持ちよく喋らせるのが吉と経験から知っていた。老人はとにかく話を遮られることを嫌う。口を挟まれることも。

「山を軽んじる者には罰が下る」

 山のお化けはにぃと笑う。

「だからここにはこんなに霊がいるのね?」

 その通りだとお化けは頷いた。アリソンたちの周りを、たくさんの半透明の影が取り巻いていた。

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