第38話 アレンの怒り

その一言が放たれた瞬間、隣にいたルンが恐怖で震え始める。


 彼女の返事を待つ間、空気が一層重く、冷たくなるのを感じた。


「もう瀕死だったし、死んでるんじゃない~? まあ、私がこの剣を持っているのが答えってことで……」


 レードの無邪気な言葉は、俺の怒りにさらに火を注ぐ。


 胸の奥で煮えたぎる感情を抑えることができなくなった。


 仲間の命を奪った可能性があること、それを楽しげに語る姿が、俺の心に深い爪痕を残す。


「話は終わりだ。《第三級魔法/ヴォイド・シフト》」


 俺は意識を集中させ、無の魔力を操り、瞬時にレードの背後に転移した。


 ヴォイド・シフトは通常の転移魔法とは異なり、魔力の波動を抑えたまま接近できる。


 俺はレードに気づかれることなく懐に潜り込み、一瞬でレードの背後に立っていた。


「え、いつからそこに──?」


 レードが驚愕の表情を浮かべる前に、俺は素早く次の魔法を発動させる。


「遅いぞレードよ。《第三級魔法/フェニックス・フレイム》」


 両手から膨大な魔力を込めた炎が溢れ出し、レードの全身を覆うように放たれる。


 その瞬間、周囲が眩い光に包まれ、熱風が吹き荒れる。


 フェニックス・フレイム──その威力は地面を焼き焦がし、草木を蒸発させるほどだ。


「あああああああああ!?!?」

 

 彼女の悲鳴が、灼熱の炎の中で響き渡る。


 逃げようとするも、全身を苛む熱と痛みによって身動きが取れなくなっているようだ。


 彼女の体は焦げ付き、皮膚はただれ、もはや人間の姿を保つのがやっとだった。


 それでも、彼女は必死に逃げようと足掻く。


「ど、どうなってるのよ!? なんであんたが第三級魔法を!?」


 その言葉に、俺は軽く鼻で笑い、冷たく言い放つ。


「ふん、第三級どころか、第二級魔法も使えるが、試してみるか?」


 レードの瞳に浮かんだ絶望は、俺にとっての勝利の証でもあった。


 もしここで第二級魔法を放てば、この森全体が消滅するかのような威力だ。


 その一言がレードにとって、どれだけの恐怖を与えたかはレードの顔を見れば一目瞭然だった。


―――



これからも更新頻度あげていきますので、何卒、★とフォローをお願いしますm(__)m




あなたの★、そしてフォローがめちゃめちゃ励みになります!



※目次ページの「フォローする」ボタンを押せばフォローすることごできます。




※また★は、ページ下部にある星マークから行えます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る