第11話

その瞬間、周囲がざわつき始める





「「「一ノ瀬 芹菜が一発で振り向いた」」」




私が一度の声掛けで振り向いたのが余程珍しかったのか、各々口を開けば同じようなことを呟いている






「一ノ瀬さん、少しいいですか?」




専務サマ、直々に呼び出しだなんて…アイツ遂にクビを切られるのでは?なんて空気感が流れ始める





いいのかな?ここ職場だけど、私…海吏の近くに行ってもいいの?「一ノ瀬さん、早く」っと、再び海吏に名前を呼ばれてしまえば、そんな迷いは抹殺される






大人しく彼の横に並べば、満足気に笑う専務サマ。私の上司に「ちょっと一ノ瀬さん、借りますね」っと、なんとも雑な許可をとってから…






突き刺すような周囲からの視線を全身で感じながら、海吏の隣を並んで歩く





─…社内恋愛、してるみたいでドキドキする





なんて悠長なことを考えられたのは束の間、海吏が使用しているお部屋に連れ込まれた瞬間、ガチャっと施錠された音が部屋中に響く

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