第2話 運命を記すもの

春秋戦国時代とは曹操や劉備がバチバチ火花を散らしていた三国志の時代から1000年くらい前のお話になります。


後に春秋戦国時代と名付けられたその時代では戦国七雄〈韓・趙・魏・楚・燕〈代〉・斉・秦〉という7つの国が中華統一を目指して熾烈な争いを繰り広げていました。


但し…不思議な事ではありますが、

そこらかしこに和名を持っている事以外さっぱり分からない女性が存在していたのでございます。


李牧「不思議な事は…どの世界でもあるものですよ?」


たまに男性がいる事もありますが…

どの国にも存在している和名を持つ女性ではありますがその数がそれなりに多い国を紹介しましょう。


それは…


Side of  趙〈=賢者の揃った国〉


魏の武将である魏鳶ぎえんが率いる軍勢に家族を奪われ戦争孤児となった経験がある李牧りぼくは趙に仕える道を選びました。


李牧りぼく…趙が誇る伝家の宝刀的存在で全てに置いて完璧を期する才気溢れる男性である。


李牧「秦には優秀な人材がそれなりにいるようですし…王騎とは馬が合わなさそうなので…。」


韓は中華で最弱の国、秦は王一族と馬が合わない…燕と斉、楚は切磋琢磨出来るような知恵者がいないし魏は家族の仇が将軍となり宰相を狙う心づもりがある事も明白ですので…残るは、


李牧「慶舎と趙荘のいる趙ですね。

あの国ならば…魏を倒し家族の無念を晴らす事も出来るでしょう。」


そんな李牧が仕えている趙の王は、

悼襄王で趙国四代目の王ではありますが政治に関しては興味なしでした。


理由は…


悼襄王「私は隣に美友みゆがおればそれだけで幸せだ。内政及び外交、軍事に関しては李牧と趙荘と慶舎がおればそれで良い。」


美友みゆ…和名しか分からない女性で悼襄王の寵姫となったものの浪費家で国の財産を自らの為だけに散財する傾国の美女である。


李牧「…畏まりました。」


幾ら李牧と言いましても趙の王である悼襄王に逆らう訳にはいかず…


昼夜問わず幸せいっぱいな雰囲気を漂わせている王と寵姫を困惑しながら見つめていても仕方ないので…


李牧「失礼致します…」


李牧はひと言断りを入れてから

その場を去りました。


美友「大王様、私は豪奢な服が欲しいのです。買って頂けますか?」


悼襄王「無論じゃ、美友の為なら

趙の国にある全ての財を投げ打つ覚悟が私にはあるのだ…」


玉座の間を辞した李牧は、

暗君である大王夫妻にあきれ果てながらその場を去りました。


李牧は自身の屋敷に戻り趙荘と、

慶舎を伴い酒宴と称して国の行く末を話し合う事にしました。


趙荘「これ以上国庫の金を遣われては国の権威を保つ金どころか生活を維持するお金すらもない…。」


趙荘ちょうそう…趙の軍師で李牧の事に関しては誰よりも知り尽くしている戦友のような存在である。


李牧「きっとまだまだ遣うでしょうね。国庫の財産は皆自分達のものだと思い込んでおられるから…」


いま趙の国庫にあるのは、

まさに雀の涙くらいの財しかなく…

趙の国庫は…

危機的状況を迎えていました…。


慶舎「あの2人には遷様がお生まれになられています。遷様を王になさるかも知れませぬ…」


李牧「2人ともまだ大王様が健在の時にそのような事を口にしてはなりませぬ…。誰がなろうと私は大王様に付き従うまででございます。」


慶舎けいしゃ…趙の軍師で全てにおいて冷静沈着に物事を考え戦を操る戦の伝道師である。


慶舎「後継者は養成した方が良いかも知れませぬ…」


慶舎は李牧と同じく戦争孤児で

こちらは李牧と同じく知識を力に

軍師となるまで這い上がった人物。


そんな慶舎・李牧・趙荘の前に突然現れたのは…


瑞季「…ここはどこかしら?」


長い髪を2つのお団子にまとめ…

大きな瞳をキョロキョロさせていた瑞季みずき


龍「…秦を滅ぼすのが我が使命だ…」


長平の戦いで父兄の命を奪われた

万騎まんきに憑依転生を果たした

瑞季の元カレ・りゅう


美雨「…どこか分からないところに来るってこれは一体何事かしら?」


可愛らしいボブにカットされた髪に

2つのピン止めをしている美雨。


李牧「後継者とはこうして見つけるのかもしれませんね…」


瑞季は李牧の屋敷で生活を共にする事になり美雨は慶舎の屋敷で…龍は…


趙荘「何が悲しくて男と住まいを共にしなければならないのだ?」


くじ運の悪い趙荘だけが損をする残念を極めた結果になりました。


李牧「瑞季はどうしてここにいる?」


李牧から何度尋ねられても瑞季には

答える事が出来ませんでした。


何故なら…


気がついた時には元カレである龍と

誰か良く分からない美雨と3人で、

趙の国にいたのですから。


李牧「分からないの…?」


和名しか分からない謎の女性達と、

万騎に憑依転生を果たした龍は…


龍「…秦への怨みが抑えられぬ…

憎しみが今にも爆発しそうで…」


万騎の憎しみだけが消えず龍の事を支配し続けているようで…


趙荘「取り敢えず落ち着くべきでは?」


くじ運の悪い趙荘は苦悶の表情を浮かべながら龍に感情を抑える方法を教えていました。


趙が秦に対抗するため後継者を育成していたまさにその頃、























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