第二百五話 護衛依頼は取り消し
ギルマスの様子を見ていたが、このまま寝かせておけばそのうち気がつくだろう。
ギルドの建物からガヤガヤと人が出てくる気配がする。
この状況で寝間着のままで突っ立ってたら不審者丸出しだよ。
よーし、撤収だー!
『みんな、帰るよー!』
オレはアクアの背中に飛び乗って空に舞い上がった。
精霊たちも一緒に舞い上がったが、フヌーディが追いかけてきて言った。
❨マーク、フォティノースを助けてくれてありがとう❩
『ああ、気にするな。ギルマスはしばらくはあのままだろうが、そのうち気がつくだろう』
❨あらためてフォティノースにもお礼を言うように伝えておくからね❩
『わかったよ。もうオレたちは帰って寝るから、フヌーディもギルマスのそばにいてやれよ。じゃあな』
サロガールホテルに向かって飛んでいる最中に風の精霊:エアーが言った。
[あの
『そうだな。それは考えておかないとダメだな』
[でも……本体は……遠いところに……いる]
『そうなんだよアクア。向こうが王都に来るのを待つか、こちらから行くか。思案のしどころだな』
サロガールホテルに到着してベランダから部屋に入った。
イニーたちを影から出して精霊樹の葉とアクアの池の水に精霊力をタップリと込めて深皿やどんぶりに出して飲ませた。
モーも子どもたちをバッグに入れて首からぶら下げて影から出てきた。
『みんな、お疲れ様だったね。誰も欠けずに無事に戻れてよかったよ』
〈なぁマーク、さっき
『ああ、覚えてるよホープ』
〈そこへ種を植えに行って、その帰りに
『う〜ん、そうだな。それもいいかな』
〈あんじょう考えたってや〉
『わかった。少し時間をくれ』
精霊たちやイニーたちは精霊樹の葉や水を飲み終えた。
深皿やどんぶりにクリーンをかけて空間収納してから、イニーたちやオレにもクリーンをかけてベッドに潜り込んだ。
ーーーーーーーーー
時は少し
『アギャァ〜〜! アァァ〜〜!』
サウスエンド筆頭辺境伯本家の一室で
そこはゴンゾリアンのそばにいる
『アヴァゥ゙ァァァ〜〜! ま……またじゃ……また分体が……消滅した』
『ナ……ナニヤツじゃ……我が分体を消滅せしめる力を……誰が……』
『エルフではない……、あのような気位だけ高くて無能な者たちではない』
『王都におる分体が二体とも消滅した……』
『次は
それは久しく感じていなかった
ーーーーーーーーーー
空が明るくなる頃に目が覚めた。
う〜ん、
でも、今日は護衛依頼に行かなくちゃいけないから起きますかね。
オレの身体にしがみついて寝ているイニーたちを起こさないように、そっと身体から引きはがしてベッドからおりてトイレに行き全身にクリーンをかけてから着替えた。
中古だが上質な生地で仕立てられたシャツとズボンに新品の編み上げ靴と上質のローブ。
頭にはバラクラバをかぶって、イニーたちを起こしに行った。
イニーたちもトイレに行って用を足してきたので全身にクリーンをかけて防具をつけさせた。
モーも子どもたちをバッグに入れて首から下げてベッドルームから出てきた。
護衛依頼の集合場所に行く途中で屋台で串焼き肉を買って朝食にするつもりだから、モーと子どもたちを影に潜らせてから部屋を出てフロントに鍵を預けてサロガールホテルを出た。
集合場所は王城近くの北東門なので、そこまで小走りで行き、屋台でホーンラビットの串焼き肉を五十本買い、焼きたてのパンもたっぷり買って集合場所近くでイニーたちと影から出したモーと一緒に食べた。
子どもたちには焼きたてのパンを細かく切って野菜と肉を煮込んだスープによく混ぜ込んだパン粥を食べさせた。
イニーたちにもスープを飲ませていると、集合場所に冒険者たちがゾロゾロと集まってきた。
食べ終わった頃に集合時間になったので、モーと子どもたちを影に潜らせて、イニーたちと歩いて行った。
あれ? なんだか
近づいてみると、ギルドの職員が書類を手になにか説明している。
どうやら、依頼主の王家の都合で護衛依頼は取り消しになったようで、依頼自体は達成扱いにするが、依頼料金は半額しか払わないそうだ。
ふんふん、だから揉めているのか。
取り消しの理由を訊かれた職員は声を
はっはぁ〜ん、
こりゃあ、王城内には他にも体調が悪くなった連中がゴロゴロいるんじゃないの。
ギルドの職員はオレに近づいてきて言った。
「中央冒険者ギルドから推薦されてきたマークだな」
「そうだ」と言って冒険者カードを見せた。
「聞いていただろうが、今日の護衛依頼は取り消しになった。依頼は達成扱いにするが、料金は半額になる」
「そうか、それはかまわないよ」
ギルドの職員はホッとした顔をした。
「了解してくれてよかったよ」
後ろをチラリと見て「ゴネる奴もいるからな」と言った。
「まぁ、依頼料をあてにしていた連中は納得しないだろうな」
「そういうことだ。では、この書類を中央冒険者ギルドに提出すれば処理してくれるからな」
「ああ、わかった。じゃあこれで解散ということでいいんだな」
「そうだ。ここで解散だ」
ギルドの職員から書類を受け取ってその場を離れて、北東門から王都を出た。
『よーし、今日は予定がなくなったから、みんなで狩りをしてどこかで肉を焼いて食べようぜ〜!』
『ギャァン! ギャン!(狩り! 好き!)』
{獲物を見つけてくるよ〜}
«バリバリしてくるぜ〜»
〈ワイとレストは草原でノンビリさせてもらうわ〉
フレアとノルムはキケルの鍛冶場に行くそうだ。
『みんな昨日はお疲れ様だったからな。今日はノンビリと楽しんでくれ』
[
『アクアはどうする?』
[マークの……そばで……ノンビリ……する]
『わかった。モー出ておいで』
モーは子どもたちを入れたバッグを首から下げてニュルンと影から出てきた。
『みんなでノンビリと狩りをするけど、モーもやるか?』
『ウニャァン! (狩りするニャ!)』
モーさんはときどきネコになるな。
『じゃあ、子どもたちのバッグはオレが首から下げておくから、イニーたちと軽く走っておいで』
『ウニャニャ〜ン(お願いね〜)』
子どもたちを受け取ると、イニー・ミニー・マイニー・モーは仲良く草原を走って行った。
オレはアクアの背中に乗って空に舞い上がり、美味そうな肉が取れる獲物を探した。
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