第百五十八話 ご機嫌なイニーたち:②
イニーたちの気配を探りながら森の中を進んでいき、襲いかかってきたホーンラビットの首を短剣で切り裂いて血抜きをしてから空間収納に入れた。
木の枝先にホロー鳥がとまっているのを見つけて、そっと
ふと、殺気と生臭い匂いを感じた。
これは蛇の気配か……。
周辺の草むらや木の枝に注意しながら進んでいくと、デカい蛇が上から襲いかかってきた。
とっさに
蛇はシャーッと大きな口を開けて飛びかかってきたが、
斬りつけた頭からボタボタと血をたらしているが、それを気にせずに何度も飛びかかってきた。
蛇って絶命しても油断はできないんだな。
胴体が動かなくなるまで待って空間収納に入れたが、コレは食べると美味いのかな?
蛇の頭を鑑定してみると、グリーンパイソン・獰猛・肉食・牙に毒・肉は美味、とわかった。
蛇の肉か、どこかで調理してもらって食べようか。塩焼きでもいいかな。
さらに森の中を進んでいくと、イニーたちが何か小さな生き物と争っている気配がする、そこへ近づいていくと開けた草原でモグラ? のような鋭い爪のある生き物をイニーたちが追い回している。
あたりには、はらわたを喰い散らかされた生き物がアチラコチラに転がっている。
鑑定してみると、クローラット・雑食・鋭い爪で地面に穴を掘り集団で生活する・爪は素材として売却可、とわかった。
イニーたちは数匹のクローラットを取り囲んで、飛びかかったり爪で跳ね飛ばしたりしている。
狩りというよりは、いたぶってオモチャにしてるって感じかな。
致命傷を与えたクローラビットのはらわたを喰いちぎってから、他の生きのいいクローラットを追いかけているようだ。
まぁ、楽しんでいるならいいか。
転がっているクローラットの前足から生えている鋭い爪を切り取りながらイニーたちが満足するのを待っていた。
やがて、クローラットを狩りつくしたイニーたちは『ギャャァン! ギャ〜ン(たくさん狩ったよ! 楽し〜い)』と鳴いて飛びついてこようとしたので『はい、そこで待って。口と爪をキレイにしてからじゃないとヤダよ』と言って一頭ずつ口周りと爪にクリーンをかけていった。
『ギギャャン? (もういい?)』と鳴くので『いいよぉ』と言うと、オレの背中や腹に飛びついてきて、手や顔をザラザラで湿った舌でベロンベロン舐めてきた。
うっ、クリーンはかけたけど、クローラットのはらわたを喰っているから、イニーたちの鼻息が臭〜い!
しょうがないなぁと笑いながら頭や背中をワシャワシャと撫でていると、シャインとバリンがフワリと飛んできた。
{むこうで大きな生き物を狩ったよ}
«バリバリッと黒コゲにしちゃった。エヘヘへ»
『へー、楽しかったか?』
{«楽しかったぁ〜!»}
『それはよかったな』
{コゲてないやつを持って帰る?}
『そうだな……、とりあえず見に行こう』
«コッチだよ〜»
シャインとバリンの道案内で大きな生き物を見に行った。
木がまばらに生えた草原にデカい馬? が何頭も倒れている。
鑑定すると、ワイルドホース・草食・集団で生活する・肉は極上、とわかった。
頭を
胴体は無傷か……、コレは中央冒険者ギルドの解体場主任のモンダンが喜びそうだな。
極上の肉なら、解体したあとで一頭分くらいはもらっておくか。
『そろそろ帰ろうか』と言って、身体強化をかけて森の中を走って王都に入る西門に向かった。
西門の手前で、イニーたちやオレにクリーンをかけて入場し、サロガールホテルに歩いていった。
ホテルの入り口に近づくとベイールではない警備員がイニーたちを連れたオレを見て軽く頭を下げた。
ブッシュパンサーを連れた冒険者が宿泊しているという情報は共有しているようだな。
そのままホテルに入り、フロントで部屋の鍵を受け取り、コンシェルジュのマイケルが待機している小さな机に近づいた。
マイケルは立ち上がり「マーク様、おかえりなさいませ」と言った。
「ありがとう。質問したいことがあるんだが、今いいかな?」
「どうぞ」
「このホテルはサロガールホテルという名前だが、それはこの国が成立する前にはサロガ村と呼ばれていたことにちなんでいるんだな?」
「さようでございます」
「他にもこの国の歴史に関係のある名前のホテルはあるのか?」
「王城近くには『ロソドリホテル』がございます」
「それは城壁の中にあるのか?」
「さようでございます」
「城壁の中には入れるのかな?」
「さようですなぁ……、どなたか貴族の方とご一緒か……、Aクラス以上の冒険者様でしたら問題はないかと」
「なるほどね、オレじゃ無理なんだな」
マイケルはかすかに微笑んだ。
「マーク様なら、いずれは……」
「まぁ、それはいいや。それと王都からオーシャンエンド辺境伯領への乗り合い馬車はどこで乗れるのかな?」
「お待ちください」
マイケルは机の引き出しからファイルを取り出してペラペラと見ていたが、一枚の紙を取り出して差し出してきた。
「こちらに乗り合い馬車の発着場と時刻が書いてございますが、乗り合い馬車は満員になれば早めに出発したり、客数が足りないと出発を遅らせる場合がございます。ご注意ください」
差し出された紙には、簡単な地図と出発時刻に料金が書いてあった。
一泊二日で銀貨七枚か、護衛付きなら安いのかな。
「これはもらっておいていいのかな?」
「どうぞ、お持ちください」
「ありがとう、また何か知りたいことができたら教えてもらうよ」
「はい、ご遠慮なくお尋ねください」
マイケルに軽く手を振って、三階の部屋に入り、
『クロ、いるかい?』
【うん、なに?】
『収納に入れてある人族は寝ているか?』
【うん、グッスリと寝ているよ】
『明日の朝までそのまま寝かせておいてくれ』
【わかった。注意しておく】
さて、マノーアとブレディがいなくなったからゴバドリアンたちはどうするのかな。
また若い冒険者を無理矢理したがえてこき使うようなら……、初代様のお祭りが始まる前にキラービーたちに美味しくいただいてもらうか。
そうだ、テールドラゴンかワイバーンに召し上がっていただくのもアリだな。
ベッドの上でビョ〜ンボョ〜ンと飛び跳ねて遊んでいるイニーたちを見ながら、どうするかはヤツらの行動次第だなと思った。
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