第百二話 思い出巡り:①
上空から眺める地上の世界は雄大で綺麗だった。
風の精霊:エアーに人族が大勢住んでいる場所を訊いてその方向に向かうことにした。
山裾から飛んでいくと、低木が生えている地帯を抜けて、二つの大きな池が見えてきた。
片方は茶色で湯気が上がっていて、片方は透明な水面が日差しを反射してキラキラ輝いている。
アレ? もしかしてオレが地下水脈を掘って作った池かな? ちょっと確かめに行ってみるか。
『アクア師匠、あの茶色の池のそばに下りてくれない?』
[んっ……わかった……]
[どうしたのじゃ? 人族が大勢住む場所はまだ先じゃぞ]
『うーん、ちょっと見てみたいものがあるんだよ』
[見てみたいもの? なんじゃ?]
『行けばわかるよ』
オレたちは茶色の池の上に舞い降りたが……、池の周りの地面がウネウネ動いている。
よく見ると、動いているのは地面ではなくてびっしりと集まっているブッシュポイズンスネークたちだった。
地下深くから掘り出したお湯で温められた地面と適度な湿気がブッシュポイズンスネークたちのお気に召したようだな。
こりゃあ、他の野獣や魔獣も近づけないね。
池の周りに植えたビーワの種は芽吹いているかなと思って、目をこらしたがブッシュポイズンスネークたちの身体の下になっていてわからない。
ここじゃ木や草花は生えるそばからブッシュポイズンスネークたちの身体に押しつぶされてしまうんじゃないか。
木と植物の精霊:ホープと森の精霊:レストに『この場所に木や草花を生やして繁らせることはできるかな?』と尋ねると〈あかんなぁ、このニョロニョロしたヤツラが縄張りにしとる限りは無理やで〉、レストも黙って
よーし、次だ! 次に行くぞー!
オレたちはもう一つの池を見に行った。
ここは浅い地下水脈を掘った池だから、野獣や魔獣たちの水飲み場として使われているようで、池の周りにはそれらの足跡がたくさん残っている。
オレが植えたビーワの種は芽吹いているが、その他にも草が生えかけている。
ホープとレストもここなら木や草花を生やして繁らせることができると言うので、芽吹いたビーワの種に木と植物の精霊魔法をかけて、若木まで成長させていった。
ホープとレストもそれぞれの精霊魔法で池の周りに木や草を
池の周りを草原と林に変えて満足したオレは魔素の濃い草原を探しに行こうとみんなに言った。
とりあえず、ユグドランジールから渡された精霊樹の実を一つは植えておいてやろうと思ったからだ。
なんとなく覚えている道順をたどりながら森の上を飛んでいくと、イニーたちの母親を殺した場所を通り過ぎた。
ちょっと申し訳ない気持ちになったが、弱肉強食の世界だから殺し合いになったら負けるわけにはいかない……、母親の分もイニーたちをしっかり面倒見ないとダメだなとあらためて思った。
やがて、魔素の濃い草原に到着した。
地面に下りて『ここにユグドランジールの種を植えるのはどうかな?』とホープに尋ねると〈う〜ん、ええとは思うねんけど、水が欲しいなぁ〉と言った。
ホープによると、魔素が一番濃い場所のそばに水が湧き出る池があればいいとのことなので、さっそく地下水脈を探ってみることにした。
以前に池を作った時には、地下水脈から地上に水を出したが、今度は地上から地下水脈に穴を開けないといけないし、魔素が噴き出している地下の魔脈を傷つけないことも考えてやらないとダメだ。
オレは地面に手をつけて、水脈を探知した。
アクアも一緒にやってくれたから、なんなく地下水脈を見つけることができた。
魔素が一番濃い場所から魔脈を避けて地下水脈に向かって土の精霊:ノルムと一緒に、土の精霊魔法でゴリゴリと穴を掘った。
地下水脈の中に太い
やがて地下水脈に穴が貫通してビューッと水が噴き出したが、水がたまり始めると徐々に勢いはおさまってきた。
魔素の濃い場所と池を中心に円を描いて深く
池から溝に水が流れ始め、一番外側の円まで届くと、その周辺の土に染み込んでいくようになった。
ホープとレストが指示する場所に縦穴を掘って精霊樹の実を埋めた。
ホープとレストとオレや子どもたちも一緒に木と植物の精霊魔法や森の精霊魔法をかけて種の成長を促進した。
それからホープとレストがどこからか取り出した木の種や草花の種を周りに植えていった。
オレは一番外側に精霊樹の種を守るようにトゲトゲ草を植えてみようと思いホープとレストに相談した。
空間収納から取り出したトゲトゲ草を見せてみると〈う〜ん、ええんちゃう〉と軽い返事が返ってきた。
切り取ったトゲトゲ草を地面に差し込んで木と植物の精霊魔法をかけながら、外側の溝をぐるりと囲むように植えていったら、いい感じに根づいた感覚がした。
木と植物の精霊魔法って面白いなぁ。
ホープとレストとノルムはこの場所に分身を置いて、精霊樹の種が成長するのを見守ると言い、バリンも一緒に分身を置いて野獣や魔獣が近づかないように種を守ると言った。
種が芽吹いて成長していけば、魔素を精霊力に変えて新しく精霊たちを生み出していくから、それまでは見守ってやるそうだ。
いずれはユグドランジールがこの草原に来れるとも言ったので、精霊たちの考えどおりにやってもらうことにした。
オレはこのまま森の中を進んで、世話になったトゲトゲ草の草むらを見に行くことにした。
変わらずトゲトゲ草が繁っていれば、また刈り取って空間収納に入れておきたいからね。
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