第18話
「これでここのワイルドベアーは全部倒したな」
「クゥ」
《ユーマのレベルが上がりました》
《ウルのレベルが上がりました》
名前:ユーマ
レベル:8
職業:テイマー
所属ギルド :魔獣、冒険者
パーティー:ユーマ、ウル
スキル:鑑定、生活魔法、インベントリ、『テイマー』、『片手剣術』
装備品:大荒熊と荒猪の片手剣、大荒熊と劣狼の革鎧、大荒熊と劣狼の小手、大荒熊と劣狼のズボン、大荒熊と劣狼の靴
名前:ウル
レベル:8
種族:子狼
パーティー:ユーマ、ウル
スキル:勤勉、成長、インベントリ、『子狼』『氷魔法』
装備品:青の首輪(魔獣)
「後2レベルは上げたいし、モンスターを探しに行こうか」
「クゥ!」
噂が本当なら10レベルでウルが進化する。そのタイミングでボスに挑みたい。
「いないな」
歩いていると定期的にモンスターは見つかるのだが、数体だけしかいない。
このまま探し続けるのもいいが、落ち着いて休憩するのも必要か。
「ウル、ここらで一旦食事にしよう」
「クゥ!」
今考えると、全然食事をしていなかった。最初の方は食べ過ぎなくらいだったのに。
「今回は、ウサギ肉とシカ肉とイノシシ肉とクマ肉、味見がてら全部にするか」
ここでは焼くくらいしか調理方法はないが、ウルはそれでも楽しみなのか尻尾を振って待っている。
「よし出来たぞ。お腹空いてるだろうし、いただきますをして、しっかり食べてくれ」
「クゥ!」
ウルは言われた通り、いただきますの代わりに伏せのポーズをとってから食べ始めた。
ウルに続いて俺も食べるが、どの肉も美味しい。もはやどれが何の肉だったか忘れたが、違いがあるのは分かる。
鶏肉っぽいものや、あっさりした淡白なもの、旨味が強いものや脂身が多いもの、それぞれ特徴的で美味しいが、何よりも臭みがないのが良い。
「美味かったな。ただ、ここでご飯を食べてればまたモンスターが寄ってくるかなって思ってたんだけど、来なかったな」
これで近くにあまりモンスターがいないと言うことは分かったし、他の場所に行くか。
「ちょっとここから離れてみようか」
「クゥ」
ボスにすぐ挑戦できるように北側で探していたが、レベル上げができないなら離れるしかない。
「お、やっと居たな」
ワイルドボアにポイズンスライム、レッサーウルフも倒していくが、やはりワイルドベアーに比べると見劣りする。
「もう数を倒すしかない。多少荒くなってもいいからどんどん倒すぞ」
「クゥ!」
ポイズンスライムは氷魔法で倒して、それ以外の近くにいるモンスターは俺が倒し、離れているやつはウルに倒してもらう。
森の中を走りながら俺とウルはモンスター達を引き倒していった。
《ユーマのレベルが上がりました》
《ウルのレベルが上がりました》
名前:ユーマ
レベル:9
職業:テイマー
所属ギルド :魔獣、冒険者
パーティー:ユーマ、ウル
スキル:鑑定、生活魔法、インベントリ、『テイマー』、『片手剣術』
装備品:大荒熊と荒猪の片手剣、大荒熊と劣狼の革鎧、大荒熊と劣狼の小手、大荒熊と劣狼のズボン、大荒熊と劣狼の靴
名前:ウル
レベル:9
種族:子狼
パーティー:ユーマ、ウル
スキル:勤勉、成長、インベントリ、『子狼』『氷魔法』
装備品:青の首輪(魔獣)
ワイルドベアー達を倒して経験値がたまっていたのか、思っていたよりも割とすぐにレベルが上がった。
「結構離れたし、そろそろボスの近くに戻るか」
「クゥ」
今までの道を引き返すが、自分達で倒してしまったから当たり前といえばそうだがモンスターは少ない。
「お、ここらへんからは結構居るな」
「クゥ!」
途中まで全然モンスターがいなかったのだが、ある場所からモンスターが増え始めたので、特別な個体以外は1時間位でリポップするのかもしれない。
「あのワイルドベアー、なんか色が変じゃないか?」
「クゥ」
見てみるとワイルドベアー亜種と出た。前に倒した時は他と比べてデカかったんだが、あいつは何か違う特徴を持っているはずだ。
「俺が出来るだけ前で戦うから、ウルも俺の近くで攻撃してくれ。危ないと思ったら離れていいから」
「クゥ!」
ウルにとってワイルドベアー亜種は超えなければならない相手だ。
前回は相手の防御力が高くて、接近戦も危なかったのでほぼ何も出来ずに終わったが、今回はウルにもしっかり戦ってもらう。
「っと、こいつは素早いの、ねっ!」
赤みがかったワイルドベアー亜種は、他のやつよりも敏捷値が高いのだろう。攻撃力が高いのは前と同じだが、これはなかなか戦うのが難しい相手だ。前回と同じならばと言う言葉が入るが。
「良かった、装備を更新してて」
前回は相手に攻撃するのも一苦労だったが、今回は素の攻撃でもダメージが入るし、防具をつけたことにより防御力も上がった。
「ウル、そっち行ったぞ!」
俺を相手にするのは厳しいと感じたのか、ウルに向かって行く。
「クゥ!」
『ガウ、ウ』
が、ウルもレベルが上がって、戦い方も学んで、攻撃が通る相手に怯むことはない。
ウルの攻撃がトドメの一撃になり、ワイルドベアー亜種を討伐することができた。
「お疲れ様、よくやったな」
「クゥ!」
ワイルドベアー亜種と出会って倒せたのは良かった。
仮に1体しかワイルドベアー亜種がこのあたりに生まれてこないのだとすると、約半日いなかった事になる。
普通のモンスターの湧きが1時間くらいだとすると、ワイルドベアー亜種はこのあたりでは相当珍しいモンスターなのだろう。
「なんならテイムとかするほうが良かったかな?」
失敗に終わる可能性もあるが、せっかくだしやってみても良かったな。
「なんなら黒い獅子をテイムしてもいいけど、出来るかな?」
「クゥ」
もしチャンスがあればやってみてもいいだろう。
「まぁとりあえず後1レベあげてボスに挑戦しよう」
「クゥ」
俺達はまたボスの近くでモンスター狩りをしようとしていたのだが、近くに知らない人達が居た。
「俺達でもワイルドベアー倒せたな!」
「でも1体が限界だ。1回戻ろう」
「ワイルドボアを倒しまくるほうが効率よくね?」
「それも一回戻ってから考えよう。こんなとこでまた襲われたら、タンクの俺がやられる」
「了解」
そのパーティーは話し合いながら街の方へと向かっていった。
「まずいな、このままだと先にボスに挑戦されるかもしれない」
まだあのパーティーが倒せるとは思わないが、万が一ってこともある。できれば一番最初にあのボスは俺たちが倒したい。
「なぁウル、本当は10レベルになってからが良かったんだが、急がないと先を越されるかもしれない」
「クゥ……」
「だから、ここからボスの場所まで出会ったモンスターを倒して、それでレベルが上がらなかったら、このままやろうと思う」
「クゥ!」
もしかしたらワイルドボアと、ワイルドベアーの群れが襲いかかってくるかもしれない。
その可能性にかけて、俺たちは進んでいく。
「ウル、氷魔法で頼む」
「クゥ!」
俺もウルも、先程までとはうって変わってボスの場所までゆっくりと歩いていく。
1体たりともモンスターを逃さないように、ウルに氷魔法で攻撃してもらい、敵に俺たちの存在を気付かせる。
「こいつらは俺がやる、ポイズンスライムは任せた」
俺もボス戦を前にして気持ちが高ぶってきたのか、戦いたい気持ちが強くなってきた。
「まぁそう上手くはいかないよな」
「クゥ」
目に映る全てのモンスターを倒してきたが、間に合わなかったようだ。
「よし、予定通り、このまま挑もう」
最初に決めていた通り、レベル10は諦めてボスに挑むことにする。
《南のエリアボスが討伐されました》
《南の街が解放されました》
「まぁ、そりゃそうか。このボスに挑まれなかっただけ良しとしよう」
「クゥ」
おそらくやったのはかつての俺の仲間たちだ。俺が自慢することじゃないが、みんな強い。
もしかしたらボスを倒すのは俺らが最初になるかもと思ってたんだが、簡単にはいかないな。
「ウル、気合入れろよ。この1回でここをクリアするぞ」
「クゥ!」
久しぶりに自分以外の誰かに、初めのボス討伐ワールドアナウンスを取られた。
気にしていないふりをしても、やっぱり悔しいものは悔しい。
「よし、行くぞ!」
そんな気持ちを力に変えるよう声を出し、俺達はボスのフィールドへと足を踏み入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます