キャラクター設定

 何にもない真っ白な空間に一つ大きめの画面が出てきた。

 生えてきたという表現が正確なのかもしれない。

 空間を割くようにニョキニョキっと出てきた画面にはこう書かれていた。



 事前に登録しておいたアバターを利用しますか?

 はい/いいえ



 俺は何もためらわず『はい』を押した。

 すると、俺の姿が変わっていくことを感じる。

 視線がさっきよりも少し下がった気がする。

 多分初期アバターの身長が少し高めに設定されていたんだろう。

 だから、俺の身長が低いとかそういうことでは全くないからね!

 アバターは身長をいじることができない。元の身長で勝負しないといけないのだ。

 日本人の俺の身長が、さっきまでのファンタジーっぽい欧米の人っぽい初期アバターより低いのは、当たり前のことだ。

 セルフ言い訳を終えて、画面を見た。

 画面には、俺が作ったキャラクターが、ゆっくりくるくる回りながら表示されていた。

 次に表示された文言はこうだ。



 このアバターから何か変更しますか?

 はい/いいえ

 ※これ以降アバターを変更する際には有料のアイテムが必要になります。



 俺は、『いいえ』を押した。

 丸1日考え抜いたアバターだから変更するところなんてないって気持ちと、それ以上にキャラクタービルドを早くして、早く冒険に出たいという気持ちで、俺は『いいえ』を押した。

 次に出てきたのは、ステータス画面だ。

 ようやく、ステータスの設定が始まるみたいだ。

 画面を見ながら、俺は考えだした。

 ちなみに、画面に表示されているのはこういう感じだ。



 キャラクターレベル:Lv.1

 職業:


 HP:0

 MP:0


 STR:0

 VIT:0

 INT:0

 MND:0

 DEX:0

 AGI:0

 LUK:0



 スキル




 SP:15(非選択分は消滅)

 BP(消費値):100(非選択分は消滅)

 BP(能力値):100(非選択分は消滅)




 昨日の夜考えてだいたいどういうステータスにするか決めておいたけど、どうしよう。変えようかな。

 どうしよう。

 流行りの極振りにしようかな。

 どうしようかな。

 でも、このゲーム、ステータスの振り直しもリセットも出来ないから、極振りはリスキーすぎるかな。

 このゲームを長く続けたいし、楽しく強くなりたいし、実直に行こう。

 とりあえず、職業から。

 昨日決めた通りに剣士に設定した。

 やっぱり、世界観的に剣と魔法の世界だし、剣と魔法、両方やりたい。

 剣士をしながら魔法ならいけそうだけど、魔術師をしながら剣を振るのってすごく難しそう。

 なんとなく、魔術師って運動音痴な感じがするし。

 ここは、決めていたし、スムーズに決まった。


 次にステータス。

 いや、まずスキルを見ておこう。

 スキルによって、ステータスは変えたいから。

 スキル一覧から剣士が使いそうなスキルと、魔法に使えそうなスキルを見繕う。

 あぁ、スキルを覚えるのに、このSPを3も使うんだ。

 ステータスを先に振らないでおいてよかった。

 さっきまでスキルを15個取るつもりだった。

 SPが15だから、一つに3BPも使うなら、5つしか取れないのか。

 これは慎重に考えなきゃ。

 さっき、大雑把に絞った15個のスキルを一回白紙に戻した。

 それから3分くらいじっくり考えた末、結論を出した。


 剣術(入門)Lv.1/Lv.10 『ソードアタック』

 魔術(入門)Lv.1/Lv.10 『ボール』

 物理の心得(入門)Lv.1/Lv.10

 ステータスアップSTR(極微)Lv.1/Lv.10

 ステータスアップAGI(極微)Lv.1/Lv.10


 俺が選んだスキルは、この5つだ。

 剣士をするからとりあえず『剣術』は必須なんじゃないかな?

 それと、魔法を使いたいし『魔術』も取ってみた。

 ステータスアップ系は、塵も積もれば山となるというし、今は極微しかアップしないけど将来的にはすごいことになるかもしれないから、取ってみた。

 魔法も使うけど、基本的には剣メインだから最後の一つは『物理の心得』にした。

 単発系の技のスキルもあったけど、なんとなく効果が微妙そうな感じがしたからやめておいた。

 スキル一覧に乗っているスキルは、ゲームを始めてからも全員にとる機会があるらしいから、単発技とかの汎用性の低そうなスキルはその時になってから取ろうと思う。


 最後にステータス。

 これはもう、勘で振るしかない。

 ステータスがだいたいどういうことを左右するかを見て、なんとなくで決めた。

 まとめるとこんな感じらしい。



 攻撃(STR) 物理攻撃力 腕力にも影響する

 防御(VIT) 防御力 HPに影響する

 魔法(INT) 魔法威力 MPに影響する

 精神(MND) 状態異常防御力 HP、MPに影響する

 器用さ(DEX) 器用さ クリティカル率に作用する 生産に作用する

 素早さ(AGI) 素早さ、俊敏さ 手数が増える 魔法の弾速か詠唱速度をあげる。

 運(LUK) 運のよさ 確率系のものに作用する クリティカル率に作用する 生産にも作用する



 なんとなく物理寄りで魔法も使えて、って考えているとすごく中途半端なステータスになっちゃった気がする。

 そんな俺の完成した初期ステータスはこちら!

 ドン!!



 キャラクターレベル:Lv.1

 職業:剣士Lv.1

 HP:81/81(80+1)

 MP:21/21(20+1)

 STR:42(30+12)

 VIT:5

 INT:5

 MND:10

 DEX:10

 AGI:31(25+6)

 LUK:15


 スキル

 剣術(入門)Lv.1/Lv.10 『ソードアタック』

 魔術(入門)Lv.1/Lv.10 『ボール』

 物理の心得(入門)Lv.1/Lv.10

 ステータスアップSTR(極微)Lv.1/Lv.10

 ステータスアップAGI(極微)Lv.1/Lv.10


 SP:0

 BP(消費値):0

 BP(能力値):0


 ※()の前が最終ステータス。()内が、振ったステータスと補正ステータス。



 俺は、力強く決定ボタンを押した。

 これでもう後戻りはできない。

 俺の冒険が始まるんだ!

 そう意気込んで今にも街に繰り出そうとしていたら、出鼻をくじくようにまた新しい画面が出た。

 ちょっとフライングしそうになった。誰に見られているわけじゃないけど、ちょっと恥ずかしい。

 新しい画面には、こう書かれていた。




 最後に、

 プレイヤーネームを入力してください。





 俺はそこにオクツと入力し、また力強く、だけれど、さっき恥をかいたから冷静に、決定ボタンを押した。

 そしたら、俺を光が包む。

 眩しいというよりは優しい白い光に包まれた。



 気が付いたら、綺麗な噴水の前に立っていた。

 そして、さっきまで操作していた画面を一回り小さくしたようなウィンドウが目の前に現れた。

 そのウィンドウには、こう書かれていた。





 チュートリアルを開始します。


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