第12話 父のいない日限定
ことあるごとに機嫌が悪くなると私は母から殴られた
鼻血が出るほどの強いこぶしで
よくよく考えてみたら、父がいない時だ
私は父に母から鼻血が出るほど殴られた
などと言わなかった
いや、怖くて言えなかったのかもしれない
きっと、私が告げ口をするような子供ではないとわかっていたから
父は知らない
自分の妻はみえないところで虐待を繰り返していたことを
何もなかったのような顔をして平然と『おかえり』と出迎えていた
私の安心安全な居場所はない
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