第40話

「お前の住所は身分証を見た時から知ってた。近くに住んでることが分かったからあの日も送ることなく裏口から逃がした。あれから約一ヶ月、お前が家に帰る姿を毎日確認させてもらってた」





仁睦さんは私を真っ直ぐに見つめ、目を逸らすことなく…私の知らなかった事実を語ってくれる。




「だから、火が出たことにもすぐに気付けた。まぁ屋敷の裏だしな、嫌でも目につく。留守だって分かってたから見に行くようなことはしなかったが、お前が部屋に入って行くのを見たと下の者が報告してきて…連れ戻しに向かった」





どうして、来てくれたのっ…?


っと首を傾げてみせると、彼は自嘲するような薄笑いを浮かべて見せる




「お前を助けたあの日、俺は写真を撮られたことに気付いてた。だからすぐに帰さずに一度屋敷に連れて帰った。写真を撮った人物がまだ近くに潜んでいる可能性があったからだ」




「えっと…それは、つまりっ、」



「あの時、お前を助けたことを後悔してる。変なモンを見せられて終わる話だったなら、そのまま見て終わる方が余程マシだっただろうな」



「…そんなことっ、」



「唯一、逃がしてやれる方法だった。お前を俺の身内だということにすれば…ここに縛り付けておく必要も無かったはずだ」




後悔してる、なんて言わないで欲しかった。少なくとも私は仁睦さんに出会えて良かったと思っているのだから。




「なにを勘違いしてるのか知らねぇが、楽しく暮らせるとでも思ってるならそれは間違いだ」




低い声で威圧するようにそう言った仁睦さんは、真っ直ぐ射抜くような鋭い視線を私に向けると─…




「二度と自由に出歩けると思うな」




なんて、、、



彼は私を脅すつもりで言ったのかもしれないが、申し訳ないが全くもって何も響かなかった





「……なにそれ、最高です!」




推しに言われたい言葉ランキング上位!束縛する彼氏のようなその発言に私はただただ胸をキュンキュンさせることになったのですが…一方で仁睦さんは呆れたように頭を抱えて俯いてしまった。

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