第31話

「会長が、お前に会いたいと言ってる」


「………かいちょう?」



話の流れや場の雰囲気からして”会長”というのは生徒会長や街の町会長なんかでは無さそうだ



昨日さぐじつの火災の件で、お前にいくつか尋ねたいことがあるらしい」



っあ…やっぱり。あれは夢じゃなかったのか。



「……なにも、言わなくていい」



「……え…?」



「なにを言ってもお前は、この先消される」




消されるって…殺されるってこと?何で?私なんか悪いことしたっけ?…あぁ、クリーニングを出さなかった件?




「あの…クリーニングには出すつもりだったんです。でも高そうなスーツだったから、普通に街のクリーニング店に出していいものなのかどうか分からなくてっ、」



「……なんの話しだ?」



「っえ?スーツのジャケットをクリーニングに出さずに毎日抱きしめて寝てたせいでシワになって取り返しがつかなくなったことに対して会長さんが激怒して私が消される…って話でしたよね?」



息継ぎもせずダーッと話し終えてから、ようやく呼吸を再開した私を見てしばらく制止した仁睦さんは…やがて頭を抱えるようにしながら立ち上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る