第17話
そんなことがあったからといって…簡単に会えるような人では無いのだということをすぐに思い知ることになった。
っというのも、あの日以来同じような時間に家の周りをウロウロしてみたり、時間をずらして前の道路を行ったり来たり。
あの手この手でお屋敷の周りを徘徊したが、仁睦さんに会えることはないまま…気が付けばあれから一ヶ月が過ぎようとしていた。
「………は?なにそれ、妄想?」
一ヶ月も経てば時効かと思い、夏休み明けの大学の食堂でお昼を食べている際に友人たちの前で仁睦さんとの出会いを暴露した。
妄想では?っときつい口調で言ってくるのは、小学校からの親友である
「妄想じゃなくて、リアルだよ!だって未だ私の部屋には推しの尊いスーツのジャケットが」
「っげ、それ借り物なんだよね?!まだクリーニング持って行ってないの?!返す気ある?」
「あ、あるに決まってるじゃん!その為にこの一ヶ月家の周りをウロウロ、、」
私と紗弓のやり取りを見ていた数人の友人たちが声を揃えて「それ、ストーカーでしょ」と言ってくるので慌てて席を立って全否定する。
「ストーカーじゃなくてっ、これは推し活!」
って、その前にお礼が言いたいだけで…会ってからジャケットの返却方法を聞いて、その後でクリーニングに持っていくつもりだから…別にわざとクリーニングに出していない訳じゃなくて!─…ほらクリーニングって言っても撥水加工とかなんか色々ジャンルあるし?ちゃんと聞いてからじゃないと後で怒られても怖いし─…
っというのはただの口実で、更にもう一度会うためにあえてクリーニングに出していないだけだということは伏せておこうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます