第6話

背を向けて歩き出した推しを追い抜いて先回りし、行く手を阻むように両手を広げてみせる





「…なんのつもりだ、これ以上ガキに構ってる暇はない」




退け、っと威嚇してくる推しに怯むことなくゆっくりと彼に近づき─…に〜っと満面の笑みを彼に向けた。





ほんの一瞬…私の顔面に見入った推し彼。その隙を狙って、今世紀最大の最速スピードで動き彼が瞬きをするその瞬間に、チュ…っと触れるようなキスをして唇を奪った





──推しの唇、いただきました〜っと。




そろそろ帰ろうかな、なんて呑気なことを考えた私はこの直後地獄を見ることになる。いや冗談抜きで本当の意味での"地獄"。




「……待てよ」




すぐ側にあるアパートへ足を進めようとした時、腕をへし折られるかと思うほどに強い力で掴まれて…踏み入れるな、と言われたばかりの御屋敷の敷地内に私と一緒に足を踏み入れた彼





───日本庭園だ、綺麗だなぁ




っとお庭に見入っていた私は、その直後物凄い力で身体を突き飛ばされ…砂利の上に尻もちをついて倒れてしまった





一瞬何が起こったのか理解できなくて、酔って回らない頭を必死に働かせて状況を理解しようと試みる。





「……どこの回し者だ」




低い声で私に尋ねた推しは、腰を抜かして動けない私の上に跨り─…テレビドラマやアニメでしか見たことの無いような"黒い塊"を懐から取り出し…ソレを静かに私のおデコに押し当てた






──BANされる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る