第4話
「……屋敷の前で騒ぐな、迷惑だ」
低い…でも聞いていて不快ではない、バリトンボイスがすぐ耳元で聞こえた直後…聞いた事のない鈍い音が鼓膜を揺らした
何が起こっているのか理解できない私は、ただただ身体を震わせる事しか出来ずにジッと大人しくこの後の自分の末路を悟った。
あぁ…きっと酷いことをされて捨てられるんだ
っと思った直後…目隠しをされていた手が解かれて視界がクリアになった。まず最初に映ったのは、地面で倒れている先程の変質者。気絶しているのか、白目を向いて天を仰いでいる
──し、死んでる?!
ワナワナと再び身体が震え始めた時、背後からグッと腕を引かれて身体を反転させられる
「……は?クソガキじゃねぇか」
………これでも一応大学三年生だぞ?ピチピチの二十歳ですけど、何か?!
っと一言だけ言わせてもらおうかと顔を上げた時、そんな感情は全て吹っ飛んでしまった。なぜなら私を見下ろしている男の顔面がとんでもなく…好みだったから。
その人は大きくため息をついてから、軽く私のことを睨みつける。
「この屋敷はお前みたいなガキが足を踏み入れていい場所じゃない。間違っても二度と近くを彷徨くんじゃねぇぞ。」
……この屋敷?
ふとすぐ隣の高く積み上げられたブロック塀を見上げる。今のアパートに越してきた時から、凄いお金持ちが住んでるんだろうな、と思っていたその御屋敷。
和風の平屋で、松の木なんかが生い茂っている古風な御屋敷の周りは…外からは中を拝めないようにしっかりと高い壁のような塀で囲まれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます