第4話 ダンジョンで一緒に過ごす仲間が出来た
さて食事も終えて俺は器を洗うために一旦外に出ようとした。すると子コボルトもトコトコとついてきた。えっと外に出ても大丈夫なのか?
「ワウ?」
子コボルトは小首を傾げながらも一緒に外に出た。特に問題ないらしく俺たちは一緒に川の水を利用して器を洗った。
子コボルトも手伝ってくれたのでわりと早く終わった。拠点に戻るとなんだか上機嫌な子コボルトも近くに座った。
これってやっぱり懐かれたのかな? でも俺も最初はソロキャンプで嫌なことを忘れようと思ったけど、こういう愛らしいモンスターと一緒ならそれも楽しいかもしれない。
「なぁ良かったら暫く一緒に過ごすかい?」
「!? ワウ!」
どうやら俺の言っている意味は伝わったようで尻尾を左右に振りながら喜んでくれた。それなら良かった。
ただそうなると――
「そういえば名前は何かあるのかな?」
「ワウ?」
名前と聞かれてもピンっとこないようだ。ただやっぱりあった方がいいよな。
「それなら俺が名前をつけてもいいかな?」
「ワウ♪」
俺が尋ねるとコクコクと頷いている。まぁ嫌そうにしていないのなら良いってことだな。
「そうだな、じゃあ名前だけど、モコでどうかな?」
「ワウ! ワウワウ! ワゥウウウン!」
何か遠吠えも聞かせてくれたけど気に入ってくれたようだしモコで決まりだな。モコは毛並みがモフッとしていて手触りも良さそうなんだ。だからモコにした。
と、いうわけでこれで俺の放置ダンジョン暮らしにも一人いや一匹の仲間が出来たってわけだ――
「ふぅ。本当撫で心地が最高だなモコは」
「ワウ♪」
俺の膝の上でモコが横になっていた。モコはそれぐらいのサイズなのだがそんなモコの茶色い毛並みを見てるとつい撫でたくなった。
最初は嫌じゃないかなと心配したが寧ろ撫でられるのが心地よいみたいだな。これこそお互いにウィン・ウィンの関係!
ちなみに俺は焚火を起こしてコーヒーを片手に本を読むというスタイルをとっていた。焚火には火おこし器も使用しているのでかなり安定して燃やせるようになっている。
さて今日はこのまま眠りにつくとして明日からどうしようかってところだが――実は俺には一つ考えがあった。だけどその為には道具を揃える必要がある。
愛用のタブレット端末を取り出して周辺のマップを見てみた。俺は外でも使えるモバイルワイファイを持参しているからネットにも繋がる。
するとモコが起き上がり興味深そうにタブレットを覗き込んでくる。
「モコは好奇心旺盛だな」
「ワウ!」
尻尾をフリフリしながらモコが答えた。折角なのでモコに端末の操作を教えてみた。
「ここをこうしてタップして――」
「ワウ!」
モコは目を輝かせてタブレットを見ていた。すごく可愛い。
「このあたりだとやっぱりこのホームセンターが一番近いな……少し歩くけど朝から出かけるかな」
「ワウ♪」
出かけると聞いてモコが嬉しそうに尻尾を振った。えっとこれって……。
「もしかして一緒に来たいのか?」
「クゥ~ン……」
モコが駄目なの? という悲しい目を俺に向けてきた。そういうのはズルいぞ。こんな顔で見られた嫌とも言えない。
ただモコも一応モンスターの一種だし……いや待てよ。俺は一つ思い出したことがあってネット検索で調べてみた。
「あ、やっぱりテイムしたモンスターなら外で連れ歩く人もいるようだな」
モンスターによってはペット感覚で一緒に過ごす人もいる。勿論その多くは冒険者なんだけど、中にはただモンスターを買いたいという理由でテイマーのジョブストーンを購入している人もいるようでその様子を動画で配信している冒険者もいるようだ。
ちなみにジョブストーンというのはダンジョンで見つかった輝石で、これを特殊素材で作成した腕輪などに嵌めて装備することでジョブストーンに応じたジョブが身につきスキルなども扱えるようになる。冒険者は基本このジョブストーンを身に着けてダンジョンを探索するそうだ。
ジョブストーンを装備するとジョブストーンを通じて今のステータスも確認出来るようだ。もっともステータスの恩恵もスキルを扱うのもジョブストーンを身につけている時限定となるという話だけどな。
どちらにしてもモコをテイムしているという体をとれば一緒に店に行くことは可能だ。
勿論店側がモンスターを連れて入ることを許可している必要はあるが、最近はそのあたりも寛容になりつつあるようだ。
明日行こうと思っていたホームセンターも大型でなければペットやモンスターの出入りが可とある。
モコのサイズなら問題ないだろう。
「良かったなモコ。一緒にいけそうだぞ」
「ワウ♪」
モコも嬉しそうだ。よし、それなら明日は一緒にホームセンターまで遠征するとしよう。
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