scene.8

第50話

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「今日は大事な話がある」



それから何日か経ったある日の朝会



課長が真剣な顔で話し始める




「玉川フーズと合同商品を販売することになった」



「この件についての営業関係は営業二課で担当する」




玉川フーズ……



たしか五十嵐がいた所



うちの会社より規模も大きいし実績もある



他の会社と合同のプロジェクトなんて珍しい




「玉川フーズはうちよりも業績の高い会社だが、今回社長同士が意気投合した」



「さらに業績をあげる良い機会だから力を入れて臨むように」



いつに増して気合いが入っている課長




「準備期間については、夏月と田中に担当してもらう」



「えっ……はい」



他人事のように聞いていたから驚いてしまう




「あれ?言ってなかったか?」



「正式に発売開始が決まったら、課全体で対応するつもりだ」



「五十嵐もしっかり勉強するように」




そういえば、新しい企画を頼むって言われたかも



歓迎会で課長が言っていたことを思い出す



でもその後全然話がなかったから忘れていた



任された以上、頑張らないとな……




そう思っていると、



「課長、五十嵐は外した方が良いんじゃないですか」



小さい声で係長が言ったのが聞こえた



たしかに辞めた会社とか気まずいよね




すると、



「課長、勉強させてください」



五十嵐が自分から申し出る




「前にいた会社でやりにくくないか?」



「大丈夫です」



課長や係長は五十嵐が辞めた理由も知っているのかな



東城さんの話を思い出す




「わかった、無理はしないように」



課長の話が終わって席に戻ると、



「お前、前の会社何で辞めたんだ?」



田中くんが五十嵐に問いかける



……直球すぎない?



でも気になるよな……




私も話を聞こうとすると、



「夏月、詳しい話なんだが……」



課長に呼ばれて席を離れる




「早速午後から会議があるけど出れるか?」



「え?今日ですか?」



いきなりすぎて驚いてしまう




「向こうの都合で急遽決まったんだ」



「約束があるか?」



幸いにも今日は1日予定がない



「いえ、大丈夫です」




話が終わって席に戻ると、田中くんも五十嵐もいなくなっていた

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