第3話

「はあ……」



自分の席に戻ってため息をつく



今でさえ仕事でいっぱいいっぱいなのに指導担当なんて……



名前が同じだからとか課長も良い加減すぎる





「先輩なら大丈夫ですよ!俺も指導しますから」



隣の席の後輩に声をかけられる




田中 冬馬(たなか とうま)



2年下の後輩で私の直属の部下



そういえば、田中くんも”冬”が付くから夏と冬だとか課長が喜んでいたっけ



体育会系でやる気もあるしムードメーカー的な存在




「田中くんも面倒見てくれると助かるよ」



「どんな奴ですかね!礼儀正しい奴が良いですね」



「そうだね、問題児じゃなければ良いな」



「ゆとりモンスターとかいますからね、ゆとり世代の俺が言うのも何ですけど」




ゆとりモンスターか……



パワハラとか言われたら面倒だな




ふと朝ぶつかった男の子が頭に浮かぶ



「邪魔なんだけど、オバさん」




きっと厳しいこと言ったら影でオバさんとか言われるんだろうな……



研修期間だけだし、優しく教えてあげれば良いや




「じゃあ、外回り行って来ます」



田中くんはジャケットを羽織って課を出て行く



私も取引先との打ち合わせだっけ……



少し早いけどゆっくり行こうかな

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