第45話

日曜日、部活が終わって家に帰る



あらかじめ選んでおいた服を着て化粧をする



丈が短めのワンピース



男ウケ狙いすぎかな………




支度に時間がかかって急いで家を出ようとするとお母さんに見つかった



「そんな格好めずらしいわね、デート?」



「ちょっと遊んでくる!」



私は恥ずかしくて家を飛び出した




気合い入りすぎって思われるかな……



そんな不安を胸に翔汰の家のインターホンを押す



ピンポーン…………



返事がない



試しにドアを引くと鍵が開いていて中に入ってみる



「翔汰〜?」



懐かしい翔太の家……



おじさんはきっと仕事だ




「上がってきていいよ」



2階から翔汰の声がして階段を登る



3年ぶりに入る翔汰の部屋



あの頃とほとんど変わらない




「今起きた、ちょっと待ってて」



そう言って私を見た翔汰は驚いた顔をしている




「気合い入りすぎじゃね?」



わざと意地悪なことを言ってくる



やっぱり何か言われると思った



でも、そんな風に言わなくてもいいのに




「もういい!!」



私が出て行こうとすると、



「待てよ」



そう言って腕を掴んで引き止められる





「………可愛い」



小声でそう言った翔汰は耳を真っ赤にしている




「見んなよ」



恥ずかしそうにしている翔汰の顔を覗き込む



照れ屋で可愛いところは変わってないな……





「顔洗ってくるから待ってて」



翔汰は逃げるように部屋から出て行った

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