第38話

「お待たせ〜」



体育館の入り口で待っている大地に声をかける




一緒に歩き始めようとすると、



「荷物重くない?」



荷物が多い私を心配してくれた




「大丈夫、なんか大地優しいね」



「もうお前のこと好きなの隠す必要ないからな」



「え、恥ずかしくないの?」



「結構恥ずかしいけど頑張ってんの!」



私たちは笑い合いながら歩き始めた




すると、



「あれ、速水だ……」



大地が校舎裏を見て足を止めた




薄暗い校舎裏をよく見ると誰かがいる



……翔汰と市川さんだ



二人で話しているけど、なんだか距離が近い



そう思っていると、



……!!




市川さんが翔汰にキスをした



一瞬だったけど嫌がる素振りを見せていない翔汰



え、なんで………



胸が押し潰されそうに痛い




「………大地、行こう?」



私はショックでその場から立ち去りたかった




「あいつ、何なんだよ」



でも、大地は怒って二人の方へ向かって行く




止めなきゃ……



そう思って大地を追うと、二人が私たちに気付いた




「おい!嘘でもえれなと付き合ってるんだろ!」



翔汰は気まずそうな顔をして黙っている



私のことは一切見てくれない




すると、



「やっぱり付き合ってるの嘘なんだ」



市川さんが翔汰に向かって言う



「いや、本当に付き合ってます」



真剣な顔で答える翔汰



なんでそこまでして嘘つくの?




「付き合ってるってことは三浦さんのこと好きなんだよね?」



「好きですよ?」



翔汰は当たり前のようにさらっと返事をする



嘘ばっかり……もうやめてよ



私は本当のことを言おうか迷っていると、



「じゃあ、キスして見せてよ」



市川さんがそう言って翔汰を追い込む



「……わかりました」



すると、翔汰が近づいて来て優しく抱き締められた

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