第17話

お腹を思い切り殴られた。

髪を持って引きずられた。


痛かった。


でも現実逃避をしたかった私はこんなとき、私の身体に赤ちゃんがいなくてよかったなんて思った。



痛くて起き上がれなかった。

でも、この間みたく泣いて冷たい目で見られたくなかったから、泣かなかった。



そしたら、貴方はいきなり私の肩に顔を埋めて泣きそうな弱々しい声で何かを言っていた。


何を言っているのは聞き取れないけど、苦しそうだった。


私に甘えるしかない可哀想な貴方。



それが私には可愛く思えて、貴方を許してしまう。



どんなに殴られても嫌うことができない。



そんなわたしが一番ダメな女。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る